2007年09月26日

首都圏における人口・世帯構造の変化と持家・民間賃貸住宅需要

竹内 一雅

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■見出し

1.はじめに
2.首都圏の人口構造の変化
3.首都圏における世帯構造と住宅所有関係の変化
4.住宅需要の将来動向
5.おわりに

■introduction

2005年をピークに日本の人口は減少に転じ、2年続けての減少となった。人口の減少と高齢化の進展の中で、世帯数も5年ごとにみると、2015年をピークとして2020年には減少に転ずると予測されている。全国ベースでは、あと10年後の世帯数の減少に先立ち、民間賃貸住宅の新規需要は2006~2010年に減少をはじめる可能性もある。
一方、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)では、他地域からの人口流入による人口増加が続き、住宅建設が活発に行われている。東京湾岸には高層マンションが建ち並び、現在も多くの建設が計画されている(図表-1)。首都圏の住宅着工戸数は、この10年間で最も着工戸数が少なかった1998年を底に増加傾向にあり、2006年は43万1千戸と、1998年に比べ7万5千戸の増加(21%の増加)となった(図表-2)。不動産投資信託(J-REIT)が運用している賃貸マンションも、首都圏には物件数の78%、戸数の77%と、大多数が集中している。
このように住宅建設・投資が活発に行われているのは、首都圏の世帯数・住宅需要が増大しているからである。首都圏では、当分、世帯数は増加すると考えられており、また、世帯数が増加する限り、住宅需要も拡大を続けるという見方が、住宅開発や投資の背景にある。しかし、そうした考え方の検証や、首都圏の直近の世帯構造の分析、新規の住宅需要はいつ頃まで増加が続くのかという定量的な分析は、ほとんどなされていないのが現状と思われる。
本稿では、首都圏における人口集中と高齢化の状況を概観し、世帯構造と住宅需要の特徴を考察した上で、首都圏の持家と民間賃貸住宅に関する今後の世帯数の動向と、新規の住宅需要を試算する。

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竹内 一雅

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