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- 9月決定会合・福井総裁定例会見~世界経済の不確実性増大
■見出し
・金融経済月報:設備、住宅、企業物価、海外経済を下方修正
・定例記者会見:世界経済の不確実性が増大、しかし金利調整は必要
■introduction
日銀は9月金融政策決定会合(18・19日)で現状維持を決めた。
市場では利上げなしがコンセンサスとなっていた。4年3カ月ぶりの利下げを決めたFRB(18日)、利上げを見送っているECBとの国際協調もあり、利上げは不可能な状況にあった。
筆者は今回の決定会合で、(1)先月まで利上げ提案を行っていた水野氏の動向、(2)金融市場の混乱に対する認識が先月と比べてどうか、(3)展望レポートを睨んでメインシナリオ、リスク要因の見直しを匂わすのかどうか、に注目していた。
水野氏は8月30日の講演で、「サブプライム問題に関する私個人の評価は、現時点でのFRBの適切な政策対応が前提、FRBが流動性リスク、信用収縮のリスクを回避するための「保険的な利下げ」までの政策対応で十分な金融環境であるならば、時間の経過とともに世界的に金融市場は安定化に向かう。一方、想定外の景気悪化を理由にFRBが利下げに踏み切った場合、議論の前提が変わる」「今後のFRBの動きを占ううえで、私が重要と考えるのは、米国の雇用情勢。想定外の景気悪化が見込まれるとすれば、米国の個人消費の下振れで、雇用情勢を起点に影響してくる」と述べた。その後、米8月雇用統計(9月7日)が4年ぶりに前月比マイナスとなり、景気悪化への懸念が一気に高まった。
FRBの利下げ後(18日)の声明文では、景気の現状認識について「引き続き、緩やかな拡大を続けている」とされている。また今回福井総裁も会見で「いわゆるリセッションに至るということではなく、いずれ経済が底を打って、米国経済自身の潜在成長能力近傍に成長が戻っていくという標準シナリオは崩れてはいないのではないか」との見解を示しており、現段階で水野氏は上記前提条件が崩れていないと判断したと読める。
金融市場に対する混乱について福井総裁は、「欧米の金融市場の状況は一段と悪化しているわけではないが、目立った改善もまだみられていない」との認識を示した。今週から発表されている米大手投資銀行の6-8月期決算や、ABCPのロールオーバーの状況、今回のFRBの利下げ効果など来月以降どう影響してくるか引き続き注目だ。
10月31日に公表予定の展望レポートは、(1)4-6月期のマイナス成長などから、2007年の成長率の数値が下方修正される、(2)リスク要因としてのIT在庫のトーンが弱まる、(3)リスク要因としての米国経済のトーンが強まるといったことは予想されるが、福井総裁は「これまでのフレームワークを今の時点でがらりと変えなければならないということは視野にない」との認識を示した。次回展望レポートも緩やかか景気回復持続・物価の緩やかな上昇というメインシナリオは現時点では維持される可能性が高いようだ。
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