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■目次
1.法人税改革が求められる背景
2.改革に向けた課題
■introduction
政府税制調査会による2007年度税制改革の答申には、「法人税の改革」が盛り込まれた。累計で投資額の95%までしか損金への参入が認められていない企業の減価償却制度の見直し等に加え、今後は、法人税率の引き下げについての検討が本格化することが予想される。以下では、法人税の改革が求められる背景と、その課題について簡単にまとめてみたい。
法人税率の引き下げは、減価償却制度の問題とともに、古くから議論されてきた問題である。この背景には、従来から日本の法人課税が海外諸国に比べて負担が重く、国際競争のうえで不利との指摘がなされていることが挙げられる。
2006年1月時点における先進国の法人所得課税の実効税率(注1)を比較して見ると(図表-1)、日本(東京)は国税と地方税との合計で40.69%であるのに対し、米国(ニューヨーク)45.95%、同(ロサンゼルス)40.75%、ドイツ(デュッセルドルフ)39.90%、フランス(パリ)33.33%、中国(上海)33.00%、イギリス(ロンドン)30.00%となっている。これらの国のなかでは、我が国の実効税率はアメリカ・ドイツなどとはほぼ同水準であり、イギリス、フランス、中国などよりは高い。さらに、韓国、香港、台湾、シンガポール、タイなどのアジア諸国の実効税率は30%以下の水準に留まっており、アジア諸国との比較においては、約10%程度高い水準にあると言える。
日本でも、90年代以降、企業の国際活動が進展するなかで、国際競争力に配慮するとの目的から法人税率は引き下げられてはきた。しかし、産業界を中心に、依然として他国に比べて税負担を重いとする向きも多く、この状態が続けば、企業の国際競争力が相対的に低下するとともに、企業が生産拠点を海外に移したりして、経済活力が損なわれる可能性を危惧する声もある。折しも、9月に発足した安倍政権は、経済成長を重視する戦略を示したが、それに併せて産業界からも、企業の国際競争力を高め経済成長を支えていくという観点から、法人税率の一段の引き下げを求める声が高まっているのである。
(2006年12月25日「基礎研マンスリー」)
篠原 哲
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