2006年10月20日

ユーロ圏のインフレ・リスク

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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  • 欧州中央銀行は10月6日の政策理事会で大方の予想通り、政策金利を25bp引き上げ、3.25%とすることを決めた。トリシェ総裁は、利上げ後も金融政策は「緩和的」、インフレ・リスクに対するスタンスは「特に注視」とし、2カ月後の12月7日の利上げを事実上予告した。
  • 2カ月に1度の利上げペースの維持は、景気拡大テンポの加速による需給ギャップの縮小を受けて、賃金を通じた物価上振れへの警戒を高めている反映である。
  • ユーロ圏は構造改革が着実に前進する限り、労働力不足に陥り難く、域内外との競争の中で賃金の安定は維持されるだろう。ユーロ相場の増価による物価安定効果も見込まれるため、原油価格上昇の影響が剥落した後、物価上振れが長びく可能性は低い。
  • 12月の政策理事会と合わせて公表されるECBスタッフの見通しでは、2007年の物価・成長率ともに下方修正が見込まれる。ECBの利上げは12月で一旦打ち止めとなり、2007年入り後はインフレ警戒のトーンを残しながらの様子見となろう。
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伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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