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- 不均衡是正のための人民元高加速の可能性
2006年05月26日
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- 中国では2006年入リ後も、高成長は投資、輸出に牽引されており、内外での不均衡拡大への懸念は払拭できない。マクロ・コントロールの強化による成長鈍化は、雇用悪化や対外不均衡の拡大を招くおそれがあるため、政策面では、高成長を維持しながら構造転換を促すよう、消費喚起策を継続する一方、小幅な利上げと投資過剰分野での構造調整が推進されている。人民元政策にも、人民元の対ドル変動幅が前日比±0.1%を超えるケースが散見されるようになるなど柔軟化方向への変化が見られる。
- 人民元高の加速を求める立場からは、人民元の切り上げは、経常黒字の削減と消費主導の成長への移行を促すことで内外の不均衡を同時に解消する効果を持ち得るとの主張もある。しかし、加工貿易が黒字の源泉となっている中国の場合、通貨調整による黒字削減の効果が不透明な一方、デフレを招くリスクは軽視できない。
- 政策当局は、不均衡の是正に種々の政策の組み合わせで対応する基本スタンスを継続、人民元政策については、これまでの政策の効果を見極めるためにも、政策当局がコントロール力を確保し、人民元高への調整テンポを緩やかなものに抑えると思われる。
(2006年05月26日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
伊藤 さゆりのレポート
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