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個人消費は本当に強いのか
経済研究部 経済調査室長・総合政策研究部兼任 斎藤 太郎
1.政府は景気判断を上方修正 政府は7月の月例経済報告で、景気の基調判断を6ヵ月ぶりに上方修正した。その理由のひとつは個人消費の判断を「持ち直し」から「緩やかに増加」に引き上げたことである。 政府が個人消費の基調判断の主要材料として用いている「消費総合指数」は、2003年後半以降明確な上昇傾向が続いており、そのペースもかなり速いものとなっている。
毎月勤労統計はカバレッジも広く、賃金統計としては家計調査よりも信頼度が高い。家計調査の収入の伸びは、実態を大きく上回っている可能性が高い。 所得水準が高ければ、当然のことながらそれに応じて消費水準も高くなる。調査世帯の入れ替えによって、所得の高い世帯の割合が前年よりも増え、それが消費支出の高い伸びにつながっているのではないか。 家計調査において所得の伸びが実態よりも高いということであれば、消費支出の伸びも過大評価されている確率が高いと考えたほうがよいだろう。 3.足もとの個人消費は割り引いて見る必要 家計調査以外の消費関連統計も底堅く推移していることから、個人消費が回復基調にあることは間違いない。しかし、力強さという点ではまだ物足りなさが残っている。個人消費が本格的に回復するためには、賃金が明確に増加することが必要だが、毎月勤労統計から判断すれば、現時点でその条件は満たされていない。企業収益の増加が今後、賃金にどの程度波及していくが注目される。 8月中旬には内閣府から4-6月期のGDP1次速報値が発表されるが、家計調査は民間消費支出の推計に用いられる基礎統計のひとつとなっている。未発表の6月の結果にもよるが、4月、5月の非常に強い数字からすれば、民間消費支出は昨年10-12月期、今年1-3月期の実質・前期比1.0%に続き、4-6月期も高い伸びとなりそうである。 しかし、ここで見たように、最近の家計調査の消費支出は調査世帯の入れ替えにより過大評価されている可能性が高い。個人消費の実力を判断する際には、その伸び率はかなり割り引いて見る必要があるだろう。 |

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