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■目次
1.物価連動債の仕組みと発行の背景
2.年金基金における物価連動債の活用
3.問題点と今後の課題
■introduction
2004年3月からいよいよ物価連動債(インフレ連動債)の発行が始まる予定である。財務省の発行計画によると平成16年度の発行額は6,000億円と発行額全体の0.4%にも満たないが、その意義は決して小さくない。
物価連動債とは、文字通り物価の変動に応じて元本や利息が増減する債券のことである。これまでに発行された主要国の物価連動債の仕組みをまとめると、図表-1のようになるが、物価連動債の最大の市場である米国でも採用されている「カナダ方式」と呼ばれるものが最も一般的である。これは、債券の元本が消費者物価指数(CPI)に連動するというものである。元本変動分は債券償還時に一括償還される。クーポンは固定金利であるが、元本の変動に応じて受け取り金額が変動する。また、物価が長期間下落した場合に備えて、当初発行日の元本保証を行う方式もあるが、わが国では元本保証を行わない方式の採用がすでに決定している。なお、わが国の場合、生鮮食料品を除くCPIを物価指数に採用している。
そもそも、物価連動債発行の背景として、次のような事情が考えられる。まず、投資家の立場からすると、これまで株式や債券で実現できなかった実質(物価上昇率控除後)のリターンが保証されることである。これについては後でより詳しく述べる。一方、発行体である政府の立場からすると、発行する債券の多様化によって国債の消化をより円滑にするとともに、物価上昇率と相関が高い税収と国債の償還元本とのマッチングを図る効果もある。
(2004年02月25日「基礎研マンスリー」)
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西出 勝正
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