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■見出し
1.はじめに
2.アメリカにおける「政治的ビジネスサイクル」
3.日本への応用とその問題点
4.結び
■はじめに
経済政策の決定にあたって、様々な政治要因が大きなインパクトを与えていることについては、幅広い合意があるように思われる。とりわけ、アメリカにおける議会と大統領府の対立、日本における政治的混乱とそれによる政策不在への懸念など、昨今の日米の状況は経済政策の決定と政治環境のつながりを再考することの必要性を強く示唆している。しかしながら、経済学と政治科学の中間領域とでもいうべきこうした問題については、依然多くの部分が未解決のまま残されている。とりわけ、政治家、官僚、財界の間で特殊な利害構造が形成されている日本においては、これまでほとんど本格的な分析が存在しなかったといっても過言ではない。
こうした点を踏まえて、以下では、アメリカにおける「政治環境―経済政策」に関する最近の分析をサーベイすると共に、それが日本の状況にどのようなインプリケーションを持っているのか、基礎的な考察を行なうこととする。問題の性格上、厳密な分析を展開することは困難であるが、こうした議論を通して、日本の政治・経済政策間の関係を見る一つの視点と、同問題に対する今後の分析の方向を明らかにしたいと考える。
以下では、まずアメリカにおいてこれまで比較的幅広く論じられてきた政治的ビジネスサイクル(大統領選挙と景気循環の関係)に関するいくつかの議論をサーベイする。次に、こうしたアメリカ流の議論を日本に応用する場合の問題点を考える。具体的には、伝統的な政治的ビジネスサイクルの議論を日銀の金融政策にあてはめたカーギル教授らの最近の研究(Cargill-Hutchinson (1988))を紹介し、これを批判的に検討する。また、日本のマクロ経済政策決定における首相の役割を強調した香西氏の仮説(Kosai(1987))を検証する。最後に、昨今の日本の政治状況変化を踏まえ、今後の政治・経済政策間の関係をどのように捉えるべきか、私見を述べることにする。
(1989年10月01日「調査月報」)
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竹中 平蔵
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