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- 【12月米住宅着工、許可件数】住宅着工は予想外の減少、天候要因が影響した可能性。
2016年01月21日
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1.結果の概要:住宅着工件数、許可件数ともに前月から減少
1月20日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は、114.9万件(前月改定値:117.9万件)となり、前月比で増加を見込んだ市場予想の120.0万件(Bloomberg集計の中央値、以下同様)に反して減少した。着工件数の伸び(前月比)は▲2.5%(前月改定値+10.1%)と前月の2桁増加から鈍化した(図表1、図表3)。
住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、123.2万件(前月改定値:128.2万件)と、こちらも前月から減少したものの市場予想(120.0万件)は上回った。この結果、住宅着工許可件数の伸び(前月比)は▲3.9%(前月改定値10.4%)となった(図表2、図表5)。
一方、15年通年では住宅着工件数が111.1万件(前年比+10.8%)、許可件数は117.8万件(前年比+12.0%)と、いずれも前年に比べて2桁の増加となったほか、07年以来の高水準となった。
住宅着工に先行する住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は、123.2万件(前月改定値:128.2万件)と、こちらも前月から減少したものの市場予想(120.0万件)は上回った。この結果、住宅着工許可件数の伸び(前月比)は▲3.9%(前月改定値10.4%)となった(図表2、図表5)。
一方、15年通年では住宅着工件数が111.1万件(前年比+10.8%)、許可件数は117.8万件(前年比+12.0%)と、いずれも前年に比べて2桁の増加となったほか、07年以来の高水準となった。
2.結果の評価:着工件数は天候の影響を受けた可能性
住宅着工件数は、前月が高い伸びであった反動はあるものの、予想外の減少となった(図表3)。住宅着工件数(前月比)の地域別寄与度をみると、北東部+2.7%ポイント(前月:▲0.5%ポイント)とプラスとなる一方、中西部▲1.8%ポイント(前月:▲0.4%ポイント)、南部▲1.7%ポイント(前月:+8.3%ポイント)、西部▲1.8%ポイント(前月:+2.6%ポイント)、とそれ以外の地域でマイナスとなった(図表4)。米国の12月の天候は、全米平均気温が過去121年間で最高となるなど、東部を中心に暖冬となった一方、降雨量も1982年の記録を上回り過去最高となった。とくに中西部や南部で降雨量が多く、オハイオ州、イリノイ州、テネシー州などで洪水被害が発生した。暖冬は住宅着工にプラスとみられ、降雨量がそれほど多くなかった北東部でプラスとなる一方、中西部や南部でマイナスとなったのは降雨が影響した可能性がある。
16年に入って中国経済に対する懸念を背景に世界的に株式市場が下落しており、米実体経済への影響が懸念されている。12月に06年以来となる政策金利の引き上げが実施されたものの、長期金利は低下しており、金利面からの住宅市場への影響は限定的とみられる。また、米国では雇用不安の後退により依然として住宅需要は底堅いとみられる。
12月の住宅着工件数の予想外の減少は、住宅市場の変調を懸念させるものの、天候要因が影響したとみられるほか、許可件数の増加基調に変化がみられないことから、現段階で住宅市場が腰折れする可能性は低いとみられる。一方、株式市場の下落が長期化し、労働市場の回復に陰りがでる場合には、住宅市場にも影響がでるため今後の動向が注目される。
12月の住宅着工件数の予想外の減少は、住宅市場の変調を懸念させるものの、天候要因が影響したとみられるほか、許可件数の増加基調に変化がみられないことから、現段階で住宅市場が腰折れする可能性は低いとみられる。一方、株式市場の下落が長期化し、労働市場の回復に陰りがでる場合には、住宅市場にも影響がでるため今後の動向が注目される。
(2016年01月21日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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