コラム
2016年08月04日

「ポケモンGO」と高齢社会(その2)-健康増進の“アプリ”と“サプリ”

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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前回:「ポケモンGO」と高齢社会(その1)-拡張現実(AR)への期待

私はファミコンも携帯型ゲームもほとんど経験したことがない世代だ。先日、いま話題のスマートフォン向けゲーム『ポケモンGO』に初めて挑戦した。ポケストップ*を探して歩き回った感想は、街歩きを楽しむ人気テレビ番組『ブラタモリ』のようだった。自分の日常生活の周辺にあるスポットを巡り、身近にありながらもこれまで気付かなかった地域の現状を発見する面白さがあった。

また、ゲームをするうちに思いもかけない距離を移動していた。歳をとると長い距離を歩く機会は少なくなる。高齢者がゴルフに行くひとつの理由は、ゴルフボールを追いかけていると無意識によく歩き、運動不足を解消できることだという。中高年になると、血圧や血糖値を抑える薬を服用する人も多い。特に持病がなくても健康維持のためにさまざまな健康食品やサプリメントを摂る人もいる。『ポケモンGO』というゲームアプリは、人の移動を誘発する効果があり、中高年の健康維持・増進につながるかもしれない。

ところで近年の公園の主要ユーザーはだれかご存知だろうか。かつて公園は子どもの遊び場所で、砂場、ブランコ、滑り台が3種の神器といわれた。少子高齢化が進展した今日、公園でよく見かけるのは高齢者の姿だ。そのため最近の公園の遊具は、健康遊具が多くを占めている。そこで『ポケモンGO』のようなスマホゲームを使って、公園に集う高齢者の健康増進を図ってはどうだろうか。公園に集中的に配置されたポケストップを巡りスコアを競うのだ。家に閉じこもりがちな高齢者が頻繁に外出するようになれば、社会的孤立の防止、健康寿命の延伸、医療・介護保険料の低減が期待できる。

年金支給日である偶数月の15日は、高齢者の消費が活発になるという。地域の商店街とコラボして地元で使える「仮想地域通貨」を導入すれば、地域で長い時間をすごす高齢者などの消費を取り込める。大阪のある商店街では、有料アイテムを使ってポケモンを大量に発生させ、集客とにぎわいを演出。『ポケモンGO』を巧く活用することで、高齢者、地域、地元自治体の「三方良し」となるだろう。

高齢者は絶対に「歩きスマホ」をしてはならない。転倒したら寝たきりになるリスクが高いからだ。ゲームは安全性に配慮し、だれもが操作しやすく、参加しやすい単純なものがいい。『ポケモンGO』は、モンスターボールとポケモンを探し歩くだけでも楽しめる。地域固有のモニュメント的な場所や地域に点在する多くの公園などを巡り歩く地域再発見ゲームとしての『ブラポケモン』は、高齢者の健康増進の“アプリ”と“サプリ”になるのではないだろうか。

(つづき:「ポケモンGO」と高齢社会(その3)-SNS時代の「シルバー民主主義」 )
 
* ポケモンを捕らえるために必要なモンスターボールなどのアイテムを入手できる場所
(参考)研究員の眼『「ポケモンGO」と高齢社会(その1)~拡張現実(AR)への期待』(2016年8月2日)
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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

(2016年08月04日「研究員の眼」)

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