コラム
2013年12月30日

超高齢社会支える「I・C・T」-「I(インターネット)・C(コンビニ)・T(宅配)」は新時代のインフラ!

土堤内 昭雄

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日本は超高齢社会への道を邁進している。すでに高齢人口は3千万人を超え、高齢化率は24.4%と世界一の高齢先進国だ。超高齢社会ではADL(日常生活動作)の低下に伴い移動制約のある人が増え、日常の買物や行政サービスを受けるにも支障をきたす人が多い。また、高齢者を中心に一人暮らしの単身世帯が急増し、家族によるインフォーマルな支援もあまり期待できない。私はこのような超高齢社会を支える生活基盤として、「I・C・T」が極めて重要ではないかと考えている。

ここでの「I・C・T」とは、I(インターネット)、C(コンビニ)、T(宅配)の3つだ。2011年3月の東日本大震災の時、被災地にタイムリーな情報を提供したインターネット、それに基づいて救援物資を運んだ宅配システム、それを被災者に届ける拠点となったコンビニ、これらが大震災という厳しい移動制約の中で被災地のライフラインになったことを目の当たりにした。首都圏で発生した500万人以上の帰宅困難者を援助するために重要な役割を果たしたのもコンビニだった。

1974年、東京都江東区にセブンイレブンが初めてフランチャイズ形式で出店したのがコンビニの起源といわれ、それから今年は40年になる。その間、コンビニは様々な社会構造変化に対応して進化を続けてきた。高度な情報技術を駆使して、チェーン店でありながら店舗ごとの売れ筋商品を把握し、消費者の購買行動を詳細に分析。全国各地の5万店にも上る店舗網が、それぞれ立地する地域の個別ニーズに応える地域密着のモノとサービスを提供しているのである。

また、かつて若年の単身男性を主たる顧客としていたコンビニは、今では多くの共働き世帯の働く女性や一人暮らしの高齢者など、多様な家族の変容に応じてあらゆる世代の生活基盤となっている。食料品に限らず、公共料金や自動車税等の納付、チケット等の料金収納代行、ATMによる入出金、宅配便の受け渡しなど、われわれの日常生活を広範に取り込む一方、子どもや女性などの防犯対策や災害時支援など地域の安全・安心の拠点としての包括的機能も備えている。

地域の生活基盤が脆弱化する今日、コンビニは単なる便利さの追求から、高度な情報(I)と物流(T)のネットワークに支えられた生活インフラへ変貌しつつある。将来的にはグローバルなネット社会と地域密着のリアル社会の結節点として、移動制約の多い超高齢社会を支えていくだろう。超高齢社会を支える「I・C・T」という生活基盤をハイブリッドに融合・深化したシステムこそが、今後の日本社会の強靭化に資するインフラになるものと思われる。




 
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土堤内 昭雄

研究・専門分野

(2013年12月30日「研究員の眼」)

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