コラム
2009年04月14日

要介護認定のもう一つの“使われ方”

  阿部 崇

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13日の月曜日、厚労省所管の新しい検討会の初会合が開かれた。「要介護認定の見直しに係る検証・検討会」といい、毎度のことながら、そうそうたるメンバーが名を連ねている。
   昨年度までは介護報酬改定の検討が行われており、次は要介護認定の仕組みの見直しか、と思いきや、そうではない。要介護認定の仕組みは、報酬改定の検討と同時並行で行なわれており、新報酬と同じ2009年4月1日から、新しい仕組みでスタートしている。では、何故もう見直しの検討なのか・・・。
   その内容は、簡単に言えば、「新しい仕組み(コンピューター判定)では、要介護度が軽く判定されるらしい。要介護度が低くなれば、サービス利用が制限される、給付額(サービス単価)が下がるのでせっかくのプラス改定も結局±0になる、などの声が高まっているので早々に見直しに着手しよう」ということらしい。

新しい要介護認定の仕組み、特にコンピューター判定の精度や厚労省の説明プロセス等については、細部に至るまで賛否両論あるところだが、ここでは、その説明や評価ではなく、要介護認定の制度上の“使われ方”に着目したい。

「要介護認定」とは、文字通り“介護を要するとの認定”のことであり、現在、要支援(要介護よりも軽い概念)2段階、要介護5段階の計7段階に区分されている。この要介護認定の使われ方として、まず一つは介護保険サービスを利用する権利があるか、また1ヵ月にどのくらいの量のサービスが使えるか、という受給権の有無とサービス上限を決めるという意味合いがある。そして、もう一つが介護保険サービスのサービス単価(介護報酬)を決めるという使われ方である。
   施設入所サービスを例に挙げると、要介護1(以上)という認定ならば、施設入所サービスの受給権が与えられ、同時に要介護度ごとの1日あたりのサービス単価、つまり施設への報酬額を決めているのである。このように、要介護認定は2つの使われ方をしている。

要介護認定にはのような使われ方があるため、その見直しの良し悪しで「せっかくのプラス改定も結局±0になる」との批判を招いてしまう。確かに要介護度が重ければ、その人に提供されるサービスの単価も高くなることも一理ある。しかし、実際に高齢者を目の前に、ケア業務に濃淡をつけることは可能なのであろうか。この人は要介護2だから、隣のベッドにいる要介護4の人よりケアの時間をかけられない、というのは現実的な考え方だろうか。
   サービスの単価はサービスの“なかみ”によって決められるべきである。 ―――  寝たきり状態なのか、医療処置の必要があるのか、認知症特有の時間をかけるケアが必要なのか、、、これらを過去の平均介護時間データを基に作られた要介護認定結果に無理やりあてはめるのではなく、実際に行われるケア業務・コストを基準にサービスの単価を設定するという方向転換が必要である。
   要介護認定の役割そのものを見直せば、その仕組みが、「給付額(介護費用)の“隠れ”調節機能」などと言われることもないだろう。

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