コラム
2007年09月28日

超高齢社会の処方箋「個育て」のすすめ

社会研究部 主任研究員   土堤内 昭雄

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総務省が今年の「敬老の日」にちなんで発表した統計トピックスによると、65歳以上の高齢者人口は2,744万人、高齢化率は21.5%と過去最高となった。65~74歳の前期高齢者は1,475万人と前年より33万人増加、75歳以上の後期高齢者は1,269万人と54万人増加した。また、80歳以上の人口は713万人となり、初めて700万人を突破した。

今後、日本は超高齢社会を迎えるが、その特徴はふたつある。第一は高齢者の一層の高年齢化が進むことだ。今年の高齢者に占める後期高齢者の割合は46.2%、2020年には52.2%と過半数を超えると推計されている。第二は女性高齢者が増加し、高齢者に占める女性の比率が高くなることだ。今年の男女別の高齢者人口は、男性が1,169万人、女性が1,575万人と女性が405万人上回っている。

年齢階級別の人口性比(女性100人に対する男性の数)は、15~64歳の生産年齢人口では101.2とほぼ男女比が均衡しているが、65歳以上では74.3、75歳以上では60.0、80歳以上では49.3と圧倒的に男性比率が低く、かつ高齢になるほど男女差は大きく拡がっている。また、平成18年の簡易生命表では、日本人の平均寿命は男性79.0年、女性85.8年、女性は男性より平均6.8年も長寿で、高齢社会は女性優位社会だ。

最近のベストセラーに東大教授・上野千鶴子さんの『おひとりさまの老後』がある。80歳以上の女性の83%は配偶者がいない、つまりこれからの超高齢社会の女性は、男女の平均寿命の差もあり、結婚してもしなくても最期はひとりになるのだという。だからこそ他の人とつながりながら、ひとりの『個』として生きる心の準備が必要なのだろう。

一方、男性は長生きをすればするほど女性に比して少数派になる。したがって超高齢社会では、男社会のなかだけで生きていくことは難しく、これからは女性や異世代とのコミュニケーション能力が不可欠になる。社会や地域コミュニティのなかで他の人とつながっていくことが求められているのだ。

このように超高齢社会では、男も女も自律した『個』を確立することが重要だ。社会や地域とつながりながら、決して孤立することなく「個立」すること、すなわち“「個育て」のすすめ”が、超高齢社会を幸せに生きていくためのひとつの有効な処方箋ではないだろうか。

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社会研究部   主任研究員

土堤内 昭雄 (どてうち あきお)

研究・専門分野
少子高齢化・家族、市民社会・NPO、都市・地域計画

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