2006年01月26日

諸外国における生命保険負債評価の変貌(その1)

  荻原 邦男

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1.
現在、IASB(国際会計基準審議会)において、保険契約に関する負債評価のあり方が議論されている。フェイズIIと呼ばれる恒久基準(本格基準)のあり方を巡る議論が再開された。原点に遡り、関係者の意見を徴求しつつ議論を進める予定とされている。
2.
生命保険会計、とりわけ負債の評価方法については、各国で販売されている商品の特性に相当の幅が見られること、また、歴史的経緯から、その取扱は様々である。
3.
IASBが目指す保険負債評価は公正価値評価ベースのものであるが、こうした時価会計的指向は旧英連邦系の諸国(英国、カナダ、オーストラリア等)において顕著である。そこで、原点に立ち戻り、それらの国々における時価会計的手法の内容と、それがどのような環境下で成立しているかを中心に、負債評価の現状をまとめたい。
4.
こうしたなかで明らかになるのは、これらの国々における貯蓄性商品のウエイトの高さである。これらの商品では、将来のキャッシュフローを評価利率で割り戻すよりも、ユニットリンク的に現在の持ち分に近い額を負債として評価する手法に合理性が認められ、このことが時価評価的指向の推進力となっているものと見られる。
5.
また、最近の注目される動きとして、特徴的な財務報告フレームワークを構築しているオランダの取組を紹介する。監督官サイドがマージンの水準を設定しているところに特徴があり、わが国の今後の会計制度を考えるにあたって示唆に富む。
6.
おわりに、EUのソルベンシーII(支払能力規制)における負債評価の検討動向をとりあげる。このなかで、支払能力の中心である責任準備金の評価を統一しようとする動きが見られるが、今後、こうした監督規制に関する動向が直接にわが国に影響する可能性があるほか、IASBの保険プロジェクトに及ぼす影響が大きいとものと考えられる。
(紙幅の都合上、3 章(カナダ)までを今号で取り扱い、4章以降は次号といたします。)

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