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今年に入り、98年のLTCM破綻までのドキュメントを描いた2冊の本が翻訳・出版された。LTCMとは、ノーベル賞受賞学者、元FRB副議長などの著名人をパートナーに、94年から運用を開始した米国のヘッジファンドである。当初は、最先端の金融工学技術を用いた驚異的なパフォーマンスが羨望の眼差しで見られていたが、ロシア危機をきっかけに、半年間で約5,000億円もの損失を出して破綻した。
これらの本は、破綻の要因として概ね、(1)リスクの大きな取引へのシフト、(2)不十分なリスク管理によるトレーダーの暴走、(3)効率的市場や合理的投資家など理論上の想定ミス、を指摘している。
これを反面教師として、企業年金運用が学ぶべき点も多いように思われる。たとえば、(1)短期間のパフォーマンスに一喜一憂して、極端にリスクテイク方針を変更していないか、(2)ファンドのリスク管理体制は整っているか、(3)市場にはパニック的なクラッシュ・リスクがあることを認識し、ストレステストの実施など対応策が検討されているか、である。
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