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■目次
1. 欧州市場環境と日系メーカーの動向
2. 日系各社の課題と対応策
■introduction
苦戦する日系メーカー
日系メーカーは欧州市場で日本国内、北米市場以上に厳しい競争にさらされている。日系メーカーのシェアは91年に12.3%であった。しかしその後為替の影響もあって低下を続け、96年は前年に比べやや改善したものの、85年と同水準の10.8%であり、低迷状態から脱したといえない状況にある。このため日系メーカーの多くは未だ投資資本に見合う収益を上げられる状態ではないとみられる。
この主な理由として、
(1)93年から95年にかけての急激な円高、いよび韓国メーカーの参入等による、相対的な価格競争力の低下
(2)欧州車の品質向上(特に耐久性という面での製造品質) などが考えられる。特に品質の改善という点では、欧州メーカー自体の努力に加え、現地進出した日系メーカーによる現地ベンダーの育成や、日系部品メーカーの現地進出が貢献したとみられる。その結果、欧州メーカーの品質改善度は、90年と比べ日系を含むアジア車よりも大きく、フォードと肩を並べる水準となっている。
またデザインを含む設計品質という点でも、欧州メーカーはもともと欧州市場自体が小型車の市場であること、自動車産業に100年以上の歴史があること、などからかなりの蓄積と競争力を有する。これは日本市場でもVWのゴルフ、ポロ、オペル・ヴィータ、プジョー・306といった車が好意的に受け入れられている事実が裏づけている。
これに対し日系各社は未だ欧州では明確なブランド力、製品コンセプトを構築できていない。欧州における消費者の車購入の選択基準は、北米の機能・経済性重視と異なり、ブランド・個性重視であるということも、日系メーカーが苦戦する要因となっている。
つまり欧州市場において日系メーカーは、相対的に低下した価格競争力、接近しつつある品質、遅れをとっているとみられる設計・デザイン能力、ブランド力という逆境のなかで苦戦を強いられている。
加藤 摩周
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