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2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)-
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5―生命保険業界の業績状況
ここでは、GDVが公表している資料11に基づいて、2024年の生命保険業界の業績状況を報告する12。
11 https://www.gdv.de/resource/blob/188374/dde4d81192e583ac43e7e80a84aa6ac6/die-deutsche-lebensversicherung-in-zahlen-2025-publikation-pdf-data.pdf
「Die deutsche Lebensversicherung in Zahlen 2025」
12 BaFinとGDVの数値は、必ずしもベースが一致していない。
11 https://www.gdv.de/resource/blob/188374/dde4d81192e583ac43e7e80a84aa6ac6/die-deutsche-lebensversicherung-in-zahlen-2025-publikation-pdf-data.pdf
「Die deutsche Lebensversicherung in Zahlen 2025」
12 BaFinとGDVの数値は、必ずしもベースが一致していない。
1|全体概要(生命保険会社、ペンションカッセン及びペンションファンド)
生命保険は、コロナウィルスの大流行、インフレの急上昇、経済の低迷という困難な時期を経て、2024年に再び進展した。
生命保険、ペンションカッセン及びペンションファンドは、2024年の総収入保険料が2.8%増の946億ユーロとなった。また、一時払保険料は9.8%増の283億ユーロとなった。平準払保険料はほぼ横ばいの663億ユーロだった。2024年の支払保険金は2.8%増の1,028億ユーロとなった。
貯蓄者の経済的余裕は限られていたにもかかわらず、殆どの人は年金契約を継続した。4,600万件以上の年金保険を含む8,400万件以上の契約を持つ保険業界は、ドイツの年金制度の不可欠な部分であり続けている。
なお、リースター契約については、2024年末時点で、対前年で3.5%減少したものの、まだ約970万件の契約がある。しかし、生命保険会社からのリースター新契約は2024年に26.0%減少した。
生命保険は、コロナウィルスの大流行、インフレの急上昇、経済の低迷という困難な時期を経て、2024年に再び進展した。
生命保険、ペンションカッセン及びペンションファンドは、2024年の総収入保険料が2.8%増の946億ユーロとなった。また、一時払保険料は9.8%増の283億ユーロとなった。平準払保険料はほぼ横ばいの663億ユーロだった。2024年の支払保険金は2.8%増の1,028億ユーロとなった。
貯蓄者の経済的余裕は限られていたにもかかわらず、殆どの人は年金契約を継続した。4,600万件以上の年金保険を含む8,400万件以上の契約を持つ保険業界は、ドイツの年金制度の不可欠な部分であり続けている。
なお、リースター契約については、2024年末時点で、対前年で3.5%減少したものの、まだ約970万件の契約がある。しかし、生命保険会社からのリースター新契約は2024年に26.0%減少した。
2|生命保険
以下のように説明されている(上記と重複する部分もあるが、再掲しておく)。
・総収入保険料は 946億ユーロで2.8%増加した。
・新契約数は440万件で3.2%減少した。
・新契約保険料評価額(年間保険料に保険期間を乗じた額に相当)は 1,855億ユーロとなり、前年の1,782億ユーロに対して、4.1%増加した。平準払の年換算保険料(APE)は2.6%増加して67億ユーロ、一時払保険料は10.1%増加して280億ユーロとなり、この結果として、全体の年換算保険料は95億ユーロで、前年の91億ユーロに対して、4.7%増加した。
・新契約による保険金額は、3,231億ユーロから3,292億ユーロに1.9%増加した。
・2024年末の契約件数は8,430万件で、2023年末の8,550万件に対して、1.4%減少した。
・給付金支払額は1,018億ユーロで、前年の990億ユーロに対して、2.8%増加した。
・2024年の投資ポートフォリオ(貸借対照表価額)は、前年の1兆810億ユーロに対して、0.5%減少して、1兆760億ユーロとなった。さらに、ユニットリンク保険の投資が、前年の1,830億ユーロに対して、19.5%増加して、約 2,180億ユーロとなった。新規投資は、前年の1,290億ユーロに対して、3.3%増加して、1,330 億ユーロとなった。なお、ペンションファンドからの値はここには含まれていない。
以下のように説明されている(上記と重複する部分もあるが、再掲しておく)。
・総収入保険料は 946億ユーロで2.8%増加した。
・新契約数は440万件で3.2%減少した。
・新契約保険料評価額(年間保険料に保険期間を乗じた額に相当)は 1,855億ユーロとなり、前年の1,782億ユーロに対して、4.1%増加した。平準払の年換算保険料(APE)は2.6%増加して67億ユーロ、一時払保険料は10.1%増加して280億ユーロとなり、この結果として、全体の年換算保険料は95億ユーロで、前年の91億ユーロに対して、4.7%増加した。
・新契約による保険金額は、3,231億ユーロから3,292億ユーロに1.9%増加した。
・2024年末の契約件数は8,430万件で、2023年末の8,550万件に対して、1.4%減少した。
・給付金支払額は1,018億ユーロで、前年の990億ユーロに対して、2.8%増加した。
・2024年の投資ポートフォリオ(貸借対照表価額)は、前年の1兆810億ユーロに対して、0.5%減少して、1兆760億ユーロとなった。さらに、ユニットリンク保険の投資が、前年の1,830億ユーロに対して、19.5%増加して、約 2,180億ユーロとなった。新規投資は、前年の1,290億ユーロに対して、3.3%増加して、1,330 億ユーロとなった。なお、ペンションファンドからの値はここには含まれていない。
3|新契約の商品別状況
2024年の新契約においては、年金及び年金保険が引き続き最大のウェイトを占め、次いで就業不能保険となった13。
・年金及び年金保険:保険料2,965百万ユーロ(シェア71.9%、対前年2.8%増加)
・その内訳としては、保証付混合型商品として加入された年金及び年金保険:1,754百万ユーロ(シェア42.5%、対前年1.7%減少)、伝統的年金保険:234百万ユーロ(シェア 5.7%、対前年2.8%減少)、ユニットリンク型年金保険:977百万ユーロ(シェア23.7%、対前年13.7%増加)
・就業不能保険:471百万ユーロ(シェア11.4%、対前年2.6%増加)
・リスク保険(定期保険等):184百万ユーロ(シェア4.5%、対前年1.3%減少)
・養老保険(伝統的):144百万ユーロ(シェア3.5%、対前年9.1%減少)
・養老保険(ユニットリンク型):167百万ユーロ(シェア4.0%、対前年1.5%増加)
2024年の新契約においては、年金及び年金保険が引き続き最大のウェイトを占め、次いで就業不能保険となった13。
・年金及び年金保険:保険料2,965百万ユーロ(シェア71.9%、対前年2.8%増加)
・その内訳としては、保証付混合型商品として加入された年金及び年金保険:1,754百万ユーロ(シェア42.5%、対前年1.7%減少)、伝統的年金保険:234百万ユーロ(シェア 5.7%、対前年2.8%減少)、ユニットリンク型年金保険:977百万ユーロ(シェア23.7%、対前年13.7%増加)
・就業不能保険:471百万ユーロ(シェア11.4%、対前年2.6%増加)
・リスク保険(定期保険等):184百万ユーロ(シェア4.5%、対前年1.3%減少)
・養老保険(伝統的):144百万ユーロ(シェア3.5%、対前年9.1%減少)
・養老保険(ユニットリンク型):167百万ユーロ(シェア4.0%、対前年1.5%増加)
13 ここでの「新契約」としては、GDVの資料の「Eingelöste Versicherungsscheine」の数値を使用している。
6―まとめ
以上、今回のレポートでは、BaFinの2024年のAnnual Reportの「I.スポットライト」の「2-2.リスク分類と(特別)検査」及び「II.企業の監督」の「2.保険会社及び年金基金」等、及びGDV(ドイツ保険協会)の公表資料等に基づいて、ドイツの生命保険会社等の監督及び業績等の状況について報告してきた。
ドイツの生命保険会社は、長引く低金利環境下で、これまでZZRの積立や新契約の保証利率の引き下げ、さらには保障性商品や固定保証利率を有さない商品へのシフトを進めることにより、健全性維持のために着実な対応を進めてきた。ただし、2022年以降の金利の急激な反転により、最近は資産の含み損の発生や解約の増加懸念等の新たなリスクへの対応が求められる状況になってきていた。金利の上昇は基本的には生命保険会社にとって望ましいものと考えられており、これまでのところ、金利上昇に伴う流動性リスク等の懸念事項についても大きな問題とはなっていないようだ。ただし、生命保険業界を巡る状況については、各種の課題への対応と併せて、引き続き注目されるところとなっている。
ドイツの生命保険会社を巡る状況に関しては、日本の生命保険業界関係者にとっても極めて関心の高い事項であることから、その監督や業績等を巡る動向については、今後とも引き続き注視していくこととしたい。
ドイツの生命保険会社は、長引く低金利環境下で、これまでZZRの積立や新契約の保証利率の引き下げ、さらには保障性商品や固定保証利率を有さない商品へのシフトを進めることにより、健全性維持のために着実な対応を進めてきた。ただし、2022年以降の金利の急激な反転により、最近は資産の含み損の発生や解約の増加懸念等の新たなリスクへの対応が求められる状況になってきていた。金利の上昇は基本的には生命保険会社にとって望ましいものと考えられており、これまでのところ、金利上昇に伴う流動性リスク等の懸念事項についても大きな問題とはなっていないようだ。ただし、生命保険業界を巡る状況については、各種の課題への対応と併せて、引き続き注目されるところとなっている。
ドイツの生命保険会社を巡る状況に関しては、日本の生命保険業界関係者にとっても極めて関心の高い事項であることから、その監督や業績等を巡る動向については、今後とも引き続き注視していくこととしたい。
(2025年07月10日「保険・年金フォーカス」)
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