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2025年04月25日
欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況-
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なお、2024年の新契約によるソルベンシーIIの自己資本への影響額は475百万ポンドで、VNBの890百万ユーロとの差異は、契約境界制限(新契約、既存契約の更新・追加)で+47百万ポンド、ソルベンシーIIの自己資本の範囲内にない契約で▲210百万ポンド、税金その他で▲252百万ポンドとなっている。
13 Avivaは、VNBについて、以下のように説明している。
「VNB は、期間中に新契約の計上を通じて生み出された株主への付加価値であり、ソルベンシーIIの前提とリスク許容量を反映しており、保有契約と新契約の間の相互作用の影響を含む、当期に計上された生命保険契約から生じるソルベンシーⅡの自己資本の増加として定義され、以下のように調整される。
・ソルベンシーIIに基づく契約境界制限の影響を取り除く。
・ソルベンシーIIの自己資本の範囲内にない契約を含める(例: 英国の損保リテール契約及び英国のエクイティリリース)。
・税総額、非支配持分ベース及びその他の差異を反映する。」
なお、年金については、VNBの手法が 2023 年に変更され、目標価格資産構成と目標再保険(実際の再保険が実施されていない場合、実際の資産構成と再保険ではなく)を使用するようになった。改訂された APM(Alternative Performance Measure:代替評価指標)は、資産形成のタイミングの違いや一時的な再保険ギャップによる新契約価値の歪みを回避できるため、より有用であると考えられている。
13 Avivaは、VNBについて、以下のように説明している。
「VNB は、期間中に新契約の計上を通じて生み出された株主への付加価値であり、ソルベンシーIIの前提とリスク許容量を反映しており、保有契約と新契約の間の相互作用の影響を含む、当期に計上された生命保険契約から生じるソルベンシーⅡの自己資本の増加として定義され、以下のように調整される。
・ソルベンシーIIに基づく契約境界制限の影響を取り除く。
・ソルベンシーIIの自己資本の範囲内にない契約を含める(例: 英国の損保リテール契約及び英国のエクイティリリース)。
・税総額、非支配持分ベース及びその他の差異を反映する。」
なお、年金については、VNBの手法が 2023 年に変更され、目標価格資産構成と目標再保険(実際の再保険が実施されていない場合、実際の資産構成と再保険ではなく)を使用するようになった。改訂された APM(Alternative Performance Measure:代替評価指標)は、資産形成のタイミングの違いや一時的な再保険ギャップによる新契約価値の歪みを回避できるため、より有用であると考えられている。
(2) 新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別状況
PVNBP、VNB及び新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別状況は、以下の図表の通りとなっている。
PVNBPは、国際部門を除く、全ての商品タイプで増加し、全体でも19.8%と大幅に増加した。特に、年金・エクイティリリースが32.7%、アイルランド生保が35.2%増加した。
VNBも、国際部門を除く、全ての商品タイプで増加し、全体でも1.8%増加した。特に、保障・医療で16.8%増加した。
新契約マージンは、全ての商品タイプで低下し、全体でも2.3%から2.0%に0.3%ポイント低下した。特に年金・エクイティリリース、アイルランド生保、国際での低下幅が大きかった。
PVNBP、VNB及び新契約マージン(対PVNBP)の商品タイプ別状況は、以下の図表の通りとなっている。
PVNBPは、国際部門を除く、全ての商品タイプで増加し、全体でも19.8%と大幅に増加した。特に、年金・エクイティリリースが32.7%、アイルランド生保が35.2%増加した。
VNBも、国際部門を除く、全ての商品タイプで増加し、全体でも1.8%増加した。特に、保障・医療で16.8%増加した。
新契約マージンは、全ての商品タイプで低下し、全体でも2.3%から2.0%に0.3%ポイント低下した。特に年金・エクイティリリース、アイルランド生保、国際での低下幅が大きかった。
なお、2024年の新契約CSMは556百万ユーロとなっている。
14 Aegonは、NBVについて、以下のように説明している。
「NBVは、IFRS新契約価値とMCVNBの合計。IFRS新契約価値は、再保険及び税引後の、新契約CSMと新たな不利な契約の損失の合計として計算される。」
14 Aegonは、NBVについて、以下のように説明している。
「NBVは、IFRS新契約価値とMCVNBの合計。IFRS新契約価値は、再保険及び税引後の、新契約CSMと新たな不利な契約の損失の合計として計算される。」
(2) 新契約価値(NBV)の地域別状況
新契約価値(NBV)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。
NBVは、英国では減少したものの、米州と国際では二桁進展した。NBVでは米州が7割超を占めており、その位置付けが極めて高くなっているが、米国の個人向け生命保険商品の収益性の向上が貢献している。
米国では、上期に対前年同期で5%減少したが、下期に32%増加したため、年間でも13%増加した。上期の減少は、退職年金のMCVNBが期末の費用想定の変更により減少したことの影響が大きい。保障ソリューションが、インデックスユニバーサル商品の売上増加と伝統的生命保険商品等の収益性改善により、上期・下期とも増加した。
英国では、前提の更新の影響等もあり、上期・下期とも対前年同期で減少した。
国際では、上期はほぼ横ばいだったものの、下期にスペインの消費者ローン関連の売上高の増加とTLB(Transamerica Life Bermuda)の売上高の増加、商品構成の改善等により増加したことで、年間でも増加した。
新契約価値(NBV)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。
NBVは、英国では減少したものの、米州と国際では二桁進展した。NBVでは米州が7割超を占めており、その位置付けが極めて高くなっているが、米国の個人向け生命保険商品の収益性の向上が貢献している。
米国では、上期に対前年同期で5%減少したが、下期に32%増加したため、年間でも13%増加した。上期の減少は、退職年金のMCVNBが期末の費用想定の変更により減少したことの影響が大きい。保障ソリューションが、インデックスユニバーサル商品の売上増加と伝統的生命保険商品等の収益性改善により、上期・下期とも増加した。
英国では、前提の更新の影響等もあり、上期・下期とも対前年同期で減少した。
国際では、上期はほぼ横ばいだったものの、下期にスペインの消費者ローン関連の売上高の増加とTLB(Transamerica Life Bermuda)の売上高の増加、商品構成の改善等により増加したことで、年間でも増加した。
6|Zurich
(1) 全体の状況
2024年の新契約CSM(NB CSM)15は、2023年に比べて5%増加(為替や買収や売却の調整を行った「同一ベース」では5%増加、以下、同様)して、1,094百万ドルとなった。
新契約マージン(New Business Margin)(=新契約CSM/新契約年換算保険料)は、より望ましいビジネスミックスにより、2023年に比べて0.2%ポイント増加(0.1%ポイント増加)して、6.5%となった。
新契約保険料現在価値(PVNBP)は、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、アジア・太平洋、中南米における成長により、2023年に比べて3%(5%)増加して、16,891百万ドルとなった。
(1) 全体の状況
2024年の新契約CSM(NB CSM)15は、2023年に比べて5%増加(為替や買収や売却の調整を行った「同一ベース」では5%増加、以下、同様)して、1,094百万ドルとなった。
新契約マージン(New Business Margin)(=新契約CSM/新契約年換算保険料)は、より望ましいビジネスミックスにより、2023年に比べて0.2%ポイント増加(0.1%ポイント増加)して、6.5%となった。
新契約保険料現在価値(PVNBP)は、EMEA(欧州、中東、アフリカ)、アジア・太平洋、中南米における成長により、2023年に比べて3%(5%)増加して、16,891百万ドルとなった。
15 新契約CSMは、外部再保険控除後で非支配持分の影響前の数値(PAA(保険料配分アプローチ)が適用される短期契約やIFRS第9号が適用される投資契約は含まれていない)。
(2) 新契約マージン(対PVNBP)等の地域別状況
PVNBP、新契約CSM及び新契約マージン(対PVNBP)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。
PVNBPは、EMEAにおいて、3%減少(同一ベース、以下同様)した。前年のスペインにおける例外的な販売量の反動でリテールの貯蓄の売上が減少したことによる。これは、保障とユニットリンク商品の販売好調でかなり相殺された。北米では、大規模法人契約の影響で(前年の低い数値から)倍増以上となった。アジア・太平洋では、前年においてオーストラリアで法人契約の増加の恩恵を受けて大幅に増加したことにより、2%減少した。中南米では、ユニットリンク年金商品の販売好調により19%増加した。
新契約マージンは、2023年に比べて、中南米を除く各地域で上昇した。なお、アジア・太平洋では11.5%と引き続き高い水準を維持しているが、北米では(前年のマイナスから改善したとはいえ)2.5%、中南米では2.3%と低水準になっている。
新契約CSMは、販売量の増加と新契約マージンの上昇により、5%増加した。
なお、PVNBPや新契約CSMには、PAA(保険料配分アプローチ)が適用される短期契約やIFRS第9号が適用される投資契約は含まれていない。短期契約からの保険収益は、主として中南米での保障契約に関連しているが、2023年の2,311百万ドルから21%(7%)増加して、2,804百万ドルとなった。また、投資契約の手数料収益は、主としてEMEAからで、管理資産残高の増加により、2023年の648百万ドルから11%(10%)増加して、717百万ドルとなった。
PVNBP、新契約CSM及び新契約マージン(対PVNBP)の地域別状況は、以下の図表の通りとなっている。
PVNBPは、EMEAにおいて、3%減少(同一ベース、以下同様)した。前年のスペインにおける例外的な販売量の反動でリテールの貯蓄の売上が減少したことによる。これは、保障とユニットリンク商品の販売好調でかなり相殺された。北米では、大規模法人契約の影響で(前年の低い数値から)倍増以上となった。アジア・太平洋では、前年においてオーストラリアで法人契約の増加の恩恵を受けて大幅に増加したことにより、2%減少した。中南米では、ユニットリンク年金商品の販売好調により19%増加した。
新契約マージンは、2023年に比べて、中南米を除く各地域で上昇した。なお、アジア・太平洋では11.5%と引き続き高い水準を維持しているが、北米では(前年のマイナスから改善したとはいえ)2.5%、中南米では2.3%と低水準になっている。
新契約CSMは、販売量の増加と新契約マージンの上昇により、5%増加した。
なお、PVNBPや新契約CSMには、PAA(保険料配分アプローチ)が適用される短期契約やIFRS第9号が適用される投資契約は含まれていない。短期契約からの保険収益は、主として中南米での保障契約に関連しているが、2023年の2,311百万ドルから21%(7%)増加して、2,804百万ドルとなった。また、投資契約の手数料収益は、主としてEMEAからで、管理資産残高の増加により、2023年の648百万ドルから11%(10%)増加して、717百万ドルとなった。
(2025年04月25日「基礎研レポート」)
中村 亮一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/25 | 欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/14 | 欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2024年決算数値等に基づく現状分析- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/04/01 | 欧州大手保険グループの2024年末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
2025/03/18 | EUがIRRD(保険再建・破綻処理指令)を最終化-業界団体は負担の軽減とルールの明確化等を要求- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
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【欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況-】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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