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2025年03月10日
ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2023年結果-
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1―はじめに
前回のレポート「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2023年結果-」(2025.3.3)では、以前の保険年金フォーカス「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(1)-2022年結果-」(2024.3.5)について、2023年ベースの数値に更新する形で、民間医療保険の普及状況について報告した1,2。
今回のレポートでは、「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2022年結果-」(2024.3.11)について、2023年ベースの数値に更新する形で、民間医療保険会社の市場シェア、経営効率及び財務面の状況について報告する。
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容(公的医療保険と民間医療保険の課題、民間利用保険の収支構造(保険料調整の仕組み等)等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」(2016.3.15~2016.4.18)を参照していただきたい。
2 以下の図表については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2023」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Zahlenportal: www.pkv-zahlenportal.de」からの数値に基づいている。両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。また、PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づく、としている。なお、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重した。
今回のレポートでは、「ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況(2)-2022年結果-」(2024.3.11)について、2023年ベースの数値に更新する形で、民間医療保険会社の市場シェア、経営効率及び財務面の状況について報告する。
1 ドイツの医療保険制度全体の概要及びその中での民間医療保険の位置付けや各種の制度の具体的な内容(公的医療保険と民間医療保険の課題、民間利用保険の収支構造(保険料調整の仕組み等)等については、基礎研レポート「ドイツの医療保険制度(1)~(3)」(2016.3.15~2016.4.18)を参照していただきたい。
2 以下の図表については、基本的には、ドイツ保険協会(GDV)の「Statistical Yearbook of German Insurance 2023」及び民間医療保険連盟(PKV)の「Zahlenportal: www.pkv-zahlenportal.de」からの数値に基づいている。両者の数値は必ずしもベースが同じにはなっていない。また、PKVをデータ・ソースとするGDVの資料についても、GDVの資料に基づく、としている。なお、GDVの資料で必ずしも数値の整合性が取れていないと思われるものについても、原資料の数値を尊重した。
2―民間医療保険会社の状況(1)-市場シェア-
ここでは、民間医療保険会社の市場シェアの状況について報告する。なお、一部のデータは2022年末が直近で得られる最新のデータになっている。
2|会社形態
2022年末の46社のうち、26社が株式会社で20社が相互保険組合3である。2018年から2019年にかけて、株式会社が1社増加し、相互保険組合が1社減少して以降、構成に変化はない。また、2022年における前者と後者の保険料ベースでの市場シェアはそれぞれ62.4%、37.6%となっている。
2000年との比較では、株式会社及び相互保険組合とも、その数は減少している。なお、保険料シェアでは、2022年までは株式会社がほぼ毎年シェアを高めてきていた。特に、2019年には株式会社が1社増加し、相互保険組合が1社減少したことの影響により、株式会社のシェアが4.3%ポイントと大きく増加したこともあり、2020年までの20年間で、株式会社のシェアは10.0%ポイント増加していた。ただし、2021年は2020年に比べて、株式会社の保険料シェアが0.6%ポイント低下しており、2022年も同じ水準となっている。
2022年末の46社のうち、26社が株式会社で20社が相互保険組合3である。2018年から2019年にかけて、株式会社が1社増加し、相互保険組合が1社減少して以降、構成に変化はない。また、2022年における前者と後者の保険料ベースでの市場シェアはそれぞれ62.4%、37.6%となっている。
2000年との比較では、株式会社及び相互保険組合とも、その数は減少している。なお、保険料シェアでは、2022年までは株式会社がほぼ毎年シェアを高めてきていた。特に、2019年には株式会社が1社増加し、相互保険組合が1社減少したことの影響により、株式会社のシェアが4.3%ポイントと大きく増加したこともあり、2020年までの20年間で、株式会社のシェアは10.0%ポイント増加していた。ただし、2021年は2020年に比べて、株式会社の保険料シェアが0.6%ポイント低下しており、2022年も同じ水準となっている。
3―民間医療保険会社の状況(2)-経営効率-
ここでは、民間医療保険会社の各種の経営効率の状況について報告する。
1|損害率・収益率
以下の図表が示すように、保険料に対する給付額の割合を示す「損害率(Damage ratio)」は、年によって変動はあるものの、2022年まではほぼ76%から80%の範囲内で推移してきていたが2023年は2022年に比べて、3.56%ポイント上昇して81.69%となった。これは、これまでの、(1)医療技術の進歩や新薬の導入等による医療費の増加、(2)高齢化社会の進展に伴う医療サービス需要の増加、といった傾向に加えて、(3)COVID-19の影響等による医療サービス利用機会の増加、(4)インフレ率の上昇(2023年の消費者物価上昇率は前年比で5.9%)等が影響したものと考えられる。
以下の図表が示すように、保険料に対する給付額の割合を示す「損害率(Damage ratio)」は、年によって変動はあるものの、2022年まではほぼ76%から80%の範囲内で推移してきていたが2023年は2022年に比べて、3.56%ポイント上昇して81.69%となった。これは、これまでの、(1)医療技術の進歩や新薬の導入等による医療費の増加、(2)高齢化社会の進展に伴う医療サービス需要の増加、といった傾向に加えて、(3)COVID-19の影響等による医療サービス利用機会の増加、(4)インフレ率の上昇(2023年の消費者物価上昇率は前年比で5.9%)等が影響したものと考えられる。
一方で、総収入に対する保険事業からの財務業績の割合を示す「保険事業による利益率(Result ratio from insurance business activity)」については、2011年以降2022年までは12%~14%程度の水準で推移してきていたが、損害率の悪化を反映して、2023年は2022年に比べて、4.09%ポイント低下して9.04%となった。
4 新契約費には、ブローカーへの手数料を含む保険契約締結時に発生する全ての経費が含まれる。維持費には、保険契約の維持管理に関わる全ての経費が含まれるが、新契約費と給付金支払手数料等のサービス処理に伴う経費は含まれない。
(2025年03月10日「保険・年金フォーカス」)
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