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2022年05月09日
日本の企業年金は、一般的に積立不足もほぼなく、成功した制度であるように見える。しかし、欧米の企業年金とは大きく異なる制度設計の下にあることに留意しておきたい。日本銀行による低金利政策を受けて予定利率を引き下げたことも成功の要因であるが、それ以外にも大きく二つの要素が存在することを指摘できる。
まず、多くの企業年金において、終身給付を排し有期給付を採用していることがある。欧米の年金のように、長寿化リスクを懸念する必要がほぼないのである。次に、年金給付の物価連動性が乏しいことがある。給付が在職中の賃金等に連動するものの、その賃金等が物価と連動しないためでもある。以前は従業員の生活水準を守るため、物価上昇に賃金が連動することは当然であった。ところが、長期にわたるデフレや、物価上昇が一部の財に限られる環境で、賃金も年金給付も物価上昇とは連動し難くなっている。
企業側の負担を考えると、年金の有期給付化や物価連動性を抑制した取組みは年金制度を安定させるものであったが、足元で見込まれる環境変化を考えると、受給者の生活はどうだろう。物価が上昇する中で年金給付の受取額が相対的に目減りするならば、制度の存在意義を問われることになるのではないか。企業も受給者も物価上昇の経験が乏しく、変化の影響を慎重に見究めたい。
まず、多くの企業年金において、終身給付を排し有期給付を採用していることがある。欧米の年金のように、長寿化リスクを懸念する必要がほぼないのである。次に、年金給付の物価連動性が乏しいことがある。給付が在職中の賃金等に連動するものの、その賃金等が物価と連動しないためでもある。以前は従業員の生活水準を守るため、物価上昇に賃金が連動することは当然であった。ところが、長期にわたるデフレや、物価上昇が一部の財に限られる環境で、賃金も年金給付も物価上昇とは連動し難くなっている。
企業側の負担を考えると、年金の有期給付化や物価連動性を抑制した取組みは年金制度を安定させるものであったが、足元で見込まれる環境変化を考えると、受給者の生活はどうだろう。物価が上昇する中で年金給付の受取額が相対的に目減りするならば、制度の存在意義を問われることになるのではないか。企業も受給者も物価上昇の経験が乏しく、変化の影響を慎重に見究めたい。
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(2022年05月09日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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