2021年12月03日

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今秋の衆院選における政策議論の中で「分配なくして成長なし」という主張が、与野党双方から類似した形で聞かれた。新型コロナの影響だけでなく、少子高齢化によって経済成長が停滞する中では、分配による経済への刺激が重要であることは言を俟たない。

現状では、一般的な所得が低迷しているだけでなく、税金や社会保険料の負担も軽いものではない。また、消費税が逆進性を帯びた課税方法であることも間違いない。所得再分配システムの見直しによる消費の活性化が着目され、期待されるのも当然であろう。

しかし、昨年度来、新型コロナ対策として、ほぼすべての国民に配布された給付金だけでなく、休業支援金や雇用調整助成金、更にはGoTo事業への補助金等様々なバラマキによる分配が目に余る。加えて、更なる給付や拡大を求める声が今でも相次いでいる。

給付金や補助金の存在が常態化してしまうと、国民は分配を当然と思うようになり、依存度が高まる。菅政権が主張した「自助・公助・共助」に対する反発は根強いが、MMT理論が本当に正しければ別なのだが、国の財政に無限の出動余地はない。公助に限界が存在することを考えると、当然、自助の重要性が意識される。自助と公助のバランスを図ることが、重要な政策課題なのである。
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(2021年12月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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