2021年04月06日

年金改革ウォッチ 2021年4月号~ポイント解説:年金広報の新たな取り組み

保険研究部 上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任   中嶋 邦夫

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1 ―― 先月までの動き

年金広報検討会は、2020年度の取組である小学生向けの漫画と若年者向け年金教育動画の制作状況、2021年度の年金関連各団体の取組計画について報告を受け、議論した。年金数理部会では、2019年度の公的年金の財政状況のうち、厚生年金保険・国民年金・基礎年金についてヒアリングを実施した。
 
○年金広報検討会
3月11日(第9回) 小学生向け年金教育図書、若年者向け年金教育動画、令和3年度計画、他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212815_00023.html (資料)
 
○社会保障審議会  年金数理部会
3月15日(第87回)  令和元年度財政状況(厚生年金保険・国民年金・基礎年金制度)、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198131_00015.html (資料)
 

2 ―― ポイント解説:年金広報の新たな取り組み

2 ―― ポイント解説:年金広報の新たな取り組み

3月11日の年金広報検討会では、2020年度の取組状況と2021年度の年金関連各団体の取組計画が議論された。本稿では、これまでの経緯や今年2~3月に始まったコンテンツ、今後の課題を確認する。
図表1 「わたしとみんなの年金ポータル」のトップページ 1|年金広報検討会と同企画室による取組の経緯
公的年金に対する国民の信頼感の向上が課題となる中で、国民の目線に立った分かりやすい年金広報の実施に向けて技術的な助言を得るため、厚生労働省(年金局)はマーケティングやパブリック・リレーションズ(PR)、ユニバサールデザインなどの専門家を招集して、2019年2月から「年金広報検討会」を開催している*1。さらに、年金制度の広報に関する総合的な企画・立案を行うため、2020年4月に年金広報企画室を設置した。

以前からポスターやパンフレット等による情報発信や「年金の日」や「ねんきん月間」などのキャンペーンが行われてきたが、同検討会の設置後は、人生の様々な出来事に合わせて情報を整理した「わたしとみんなの年金ポータル」が2019年4月に開設されるなど、一般市民向けの年金広報が強化されている。
 
*1 同検討会以前には、「ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会」や「公的年金の分かりやすい情報発信モデル事業検討会」といった特定の事業に特化した検討会が開かれていた。
図表2 「社会保険適用拡大特設サイト」のトップページ/図表3 オンラインまんが「年金のひみつ」の表紙/図表4 ネット動画「年金について日本一わかりやすく説明しようとしたらこうなった」のサムネイル画像 2|2020年度の取組:適用拡大に関する特設サイトと、著名シリーズを利用したマンガ・動画
2020年度の取組の1つが「社会保険適用拡大特設サイト」の開設である。2022年10月からパート・アルバイトの一部が段階的に厚生年金などの加入対象になることを受けて、動画などで改正の概要や意義を伝えるとともに*2、社会保険料の簡易試算を可能にしたり詳細試算への案内を掲載して、適用拡大の影響を実感しやすくしている。

また、小学生向け学習まんがで著名なシリーズの一環として「まんがでよくわかるシリーズ特別編『年金のひみつ』」が*3、若者向けのネット動画で著名なシリーズの一環として「いざわ・ふくらのQuizKnock塾『年金について日本一わかりやすく説明しようとしたらこうなった』」が制作された。

いずれの媒体にも同検討会で熱心に議論された結果が反映され、工夫された、興味をひく内容となっている。
 
*2 動画は同サイトのみで閲覧可能だが、YouTube等で公開されれば他の関連動画からのアクセスが容易となるだろう。
*3 生命保険協会が協力した「みんなを支える生命保険 生き方と自助のひみつ」でも、公的年金などが解説されている。
3|2021年度の計画:個々人の年金を「見える化」するためのWebアプリや年金財政の解説まんが
2021年度の新たな取組の1つは、年金見込額の簡易試算や民間サービスとの連携などを可能にするWebアプリの提供である*4。年度後半に実証実験が行われ、2022年4月の運用開始が予定されている。

また、年金財政の将来見通しを解説するまんがも、大幅に改定される予定になっている。
 
*4 本誌2020年9月号で概要や課題を紹介した際にはスマホアプリの予定だったが、現在はWebアプリとして予定されている。
4|課題:全体の整理と受給者向けの情報提供
3月の同検討会では、今後の課題として様々な広報活動の整理が挙げられた。年金制度に関する広報は、厚生労働省(年金局)以外にも日本年金機構などの公的機関で実施されている。それぞれの活動内容は相互に理解されているが、年金広報全体としての方針の策定や役割分担などが課題とされた。

同検討会で挙げられた課題以外で筆者が課題と感じるのは、受給者に向けた情報提供である。近年実施された制度改正には、毎年の年金額改定の見直しなど現在の受給者に影響する内容も含まれている。半数の高齢世帯では収入の全てが公的年金であることに配慮して、丁寧な説明が必要だろう。
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保険研究部   上席研究員・年金総合リサーチセンター 公的年金調査室長 兼任

中嶋 邦夫 (なかしま くにお)

研究・専門分野
公的年金財政、年金制度全般、家計貯蓄行動

(2021年04月06日「保険・年金フォーカス」)

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