2020年08月05日

リバランス再論

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新型コロナの感染の広がりをきっかけにした、2月から3月末までの世界株価の下落幅は30%を超えた。ところがその後株価は回復し、6月末までにおよそ8割を戻した。スタートを100とすると、70に下落した後94まで戻ったことになる。

そこで改めて認識されたのがリバランスの効果である。仮に債券60、株式40で運用をスタートし、株式が30%下落し28になったとする。何もせず放置すると株価回復により株式の価値は38に、資産全体の価値は98まで戻る。一方、下落した3月末に、合計88の運用資産を債券53、株式35にリバランスしていたなら株式は47まで戻り、運用資産の価値は100になったはずである。

もちろん、これは結果論に過ぎない。確かに株価がいつどこまで戻るか事前には誰もわからない。「100年に一度の危機」と言われるとまだまだ下落するのではないかと思うのが自然だ。

しかし、株価下落は永遠には続かない。また、多くの投資家が恐怖に駆られる下落局面ではリスクプレミアムが拡大し、株価が戻り始めた際に平均以上に高いリターンが得られることが多い。反対に投資家が楽観的になる上昇局面では、リスクプレミアムは縮小している。今回に限らず、相場観を容れない機械的なリバランスが、これまでずっと効果を発揮してきた理由である。
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(2020年08月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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