2020年02月05日

バリュー・トラップと環境投資

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いわゆる割安株(バリュー株)投資家が直面する課題の一つに、バリュー・トラップという現象がある。本来の価値よりも株価が低いと判断して投資する、しかし他の市場参加者が割安だとは考えず投資しないでいると、割安なまま放置されてしまう。その結果「値上がりするだろう」と投資した銘柄がいつまでも上がらないというトラップ(わな)に陥る。

環境対応投資、すなわちESG投資の“E”にもこれに似た落とし穴がある。例えば、CO2(二酸化酸素)排出が少なく、環境に配慮した銘柄にウェイトを置いたポートフォリオを組んでも、簡単には成功しない。CO2排出という環境への負荷(外部不経済)が、企業業績に悪影響を与えるのはまだ早い、と投資家の多くが考えていれば高い収益率を上げることができないからだ。

このトラップ(わな)が解消する条件は、気候変動や環境への負荷が炭素税などを通じて商品やサービスの価格に反映されてきた、と市場参加者が認めることだ。もちろんこれには時間がかかる。しかし、環境会計の普及や統合報告書を通じた情報開示、ESGインデックスの利用拡大などをみると、この条件が満たされ始めていると判断しても、もはや楽観的すぎるとは言えまい。
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(2020年02月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)

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【バリュー・トラップと環境投資】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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