- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 米国の利下げで円高は進むのか?~マーケット・カルテ8月号
2019年07月19日
7月に入り、米国の月内利下げ観測が強まる一方、雇用統計ほか予想を上回る米経済指標の発表もあって、ドル円は107~108円台での一進一退の展開に。足元では107円台半ばで推移している。
今後、月末のFOMCで0.25%の利下げが決定され、10月にも0.25%の追加利下げが決定される可能性が高い。ただし、この程度のいわゆる「予防的利下げ」に留まる場合、市場では完全に織り込み済み(先物市場の中心的な利下げ織り込み幅は年内0.75%)であるため、ドル円への影響は限られるだろう。米国経済は今後も堅調を維持すると見込まれ、FRBがさらに利下げを増発する可能性は低い。3カ月後の水準は現状程度と予想する。
ただし、この間に米中・日米通商協議、米債務上限問題、英EU離脱問題などのリスク材料が控えている点には注意が必要になる。それぞれ、協議決裂(関税引き上げ)、米国債デフォルト、合意なき離脱といった最悪の事態はメインシナリオではないが、緊迫する局面ではリスクオフや米利下げ観測上昇に伴う一時的な円高進行も想定される。
ユーロ円は、今月に入ってユーロ安が進行し、足元では121円台前半で推移している。緩和に前向きとされるラガルドIMF専務理事がECB次期総裁に決まったことで、緩和路線が踏襲されるとの見方が強まったためだ。ECBは今後FRBの利下げに追随する形で小幅なマイナス金利拡大に踏み切ると予想されるが、米利下げと同様、市場では既に織り込まれているため、影響は限定的だろう。3カ月後の水準は現状程度と予想している。
長期金利は、海外金利の影響を受けつつ▲0.1%台での推移を続けており、足元は▲0.14%台にある。欧米中銀が金融緩和に向う中、今後も低迷が予想されるものの、既に織り込みが進んでいるため、海外金利からの追加的な低下圧力は考えにくい。一方で、円高リスクが燻るなかで、日銀が円高を助長しかねない国債買入れの大幅な減額によって金利押し上げを図るとも思えない。3ヵ月後の水準は▲0.1%台前半から半ばと予想している。
(執筆時点:2019/7/19)
今後、月末のFOMCで0.25%の利下げが決定され、10月にも0.25%の追加利下げが決定される可能性が高い。ただし、この程度のいわゆる「予防的利下げ」に留まる場合、市場では完全に織り込み済み(先物市場の中心的な利下げ織り込み幅は年内0.75%)であるため、ドル円への影響は限られるだろう。米国経済は今後も堅調を維持すると見込まれ、FRBがさらに利下げを増発する可能性は低い。3カ月後の水準は現状程度と予想する。
ただし、この間に米中・日米通商協議、米債務上限問題、英EU離脱問題などのリスク材料が控えている点には注意が必要になる。それぞれ、協議決裂(関税引き上げ)、米国債デフォルト、合意なき離脱といった最悪の事態はメインシナリオではないが、緊迫する局面ではリスクオフや米利下げ観測上昇に伴う一時的な円高進行も想定される。
ユーロ円は、今月に入ってユーロ安が進行し、足元では121円台前半で推移している。緩和に前向きとされるラガルドIMF専務理事がECB次期総裁に決まったことで、緩和路線が踏襲されるとの見方が強まったためだ。ECBは今後FRBの利下げに追随する形で小幅なマイナス金利拡大に踏み切ると予想されるが、米利下げと同様、市場では既に織り込まれているため、影響は限定的だろう。3カ月後の水準は現状程度と予想している。
長期金利は、海外金利の影響を受けつつ▲0.1%台での推移を続けており、足元は▲0.14%台にある。欧米中銀が金融緩和に向う中、今後も低迷が予想されるものの、既に織り込みが進んでいるため、海外金利からの追加的な低下圧力は考えにくい。一方で、円高リスクが燻るなかで、日銀が円高を助長しかねない国債買入れの大幅な減額によって金利押し上げを図るとも思えない。3ヵ月後の水準は▲0.1%台前半から半ばと予想している。
(執筆時点:2019/7/19)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
(2019年07月19日「基礎研マンスリー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年05月17日
マレーシア経済:24年1-3月期の成長率は前年同期比+4.2%~堅調な個人消費と輸出の回復により成長加速 -
2024年05月17日
韓国政府と医療界が医学部の入学定員増案で対立、医療空白が長期化-日本の事例を参考に事態の解決を- -
2024年05月17日
2024・2025年度経済見通し(24年5月) -
2024年05月17日
米住宅着工・許可件数(24年4月)-着工件数は前月から増加も市場予想を下回る -
2024年05月17日
女性の「定年」への意識~「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」より(7)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【米国の利下げで円高は進むのか?~マーケット・カルテ8月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
米国の利下げで円高は進むのか?~マーケット・カルテ8月号のレポート Topへ