- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感がさらに悪化、設備投資計画は見た目より弱い
日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感がさらに悪化、設備投資計画は見た目より弱い

経済研究部 上席エコノミスト 上野 剛志
- 6月短観では、注目度の高い大企業製造業の業況判断D.I.が5ポイント低下し、2四半期連続での景況感悪化が示された。D.I.の水準は、英EU離脱懸念などで円高が続いていた2016年9月調査以来の低水準になる。一方、大企業非製造業の業況判断D.I.は2ポイント上昇した。大企業製造業では米中貿易摩擦の激化・長期化やそれに伴う中国経済の低迷・円高の進行などを受けて、景況感が明確に悪化した。一方、非製造業では、改元に伴う大型連休が一時的な消費増加に繋がったほか、堅調なインバウンド需要が景況感の改善に寄与したとみられる。
- 先行きの景況感は改善が見込まれていない。米中通商交渉は合意の目処が立っておらず、激化する懸念が残る。中国経済の持ち直しも不確実性が高い。また、参議院選挙後は日米通商交渉が本格化し、米政権からの対日圧力の高まりが懸念される。先行きの不透明感が強く、製造業は事業環境の改善を見通しづらい。非製造業では、消費税率引き上げを控えた消費者マインドの悪化や人手不足への懸念などから先行きの景況感が大きく悪化している。
- 2018年度の設備投資計画(全規模全産業)は、前年比6.6%増に下方修正された。下方修正幅はこの時期としては過去最大となる。年度終盤にかけて先送りの動きが出たとみられる。一方、2019年度の設備投資計画(同)は2018年度実績比で2.3%増へ上方修正された。例年6月調査では、計画が固まってくることで大幅に上方修正される傾向が強い。ただし、今回の上方修正幅は近年の平均的な上方修正幅を下回る。さらに比較対象となる2018年度の値が大幅に下方修正されていることを踏まえると、モメンタム(勢い)はかなり弱い。貿易摩擦の激化・長期化などを受けて、企業の間で設備投資を様子見する動きが広がっている可能性がある。
1.全体評価:米中摩擦激化の影響が顕在化、非製造業のマインドは堅調維持
2.業況判断D.I.:製造業と非製造業で方向感が分かれる
・大企業
3.需給・価格判断:内外需給は総じて悪化、値上げの動きも弱まる
・需給判断:内外需給は総じて悪化、先行きも低迷
・価格判断:値上げの動きが弱まる
4.売上・利益計画: 2019年度利益計画は下方修正に
5.設備投資・雇用:人手不足感はやや緩和、設備投資計画は弱い
(2019年07月01日「Weekly エコノミスト・レター」)

03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/07 | 金価格は史上最高値を更新、まだ上昇余地はあるか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/02/07 | 2025年はどんな年? 金融市場のテーマと展望 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/01/22 | トランプ政権始動、円相場の行方は関税次第に~マーケット・カルテ2月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/01/15 | 貸出・マネタリー統計(24年12月)~利上げが貸出金利に波及、定期預金残高の底入れが顕著に | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年02月12日
今週のレポート・コラムまとめ【2/4-2/10発行分】 -
2025年02月10日
欧州の自然災害リスクへの取り組み-気候変動による自然災害への対策は段階的アプローチで -
2025年02月10日
推し活時代の転売対策として、マイナンバーカードに集まる期待 -
2025年02月10日
新設された5歳児健診とは?-法定健診から就学までの期間における発達障がいや虐待リスクに対応、その後のフォローアップ体制には課題も- -
2025年02月10日
米雇用統計(25年1月)-非農業部門雇用者数は前月比+14.3万人と市場予想(+17.5万人)を下回る一方、失業率は低下
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感がさらに悪化、設備投資計画は見た目より弱い】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日銀短観(6月調査)~大企業製造業の景況感がさらに悪化、設備投資計画は見た目より弱いのレポート Topへ