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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(6月号)~輸出は5ヵ月連続の減少、米中貿易摩擦の激化で回復の兆しみえず
2019年06月11日
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19年4月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比3.2%減(前月:同3.9%減)とマイナス幅が縮小した(図表1)。輸出の伸び率は昨年前半まで堅調に推移していたが、年後半からは海外経済の減速やITサイクルのピークアウト、米中貿易摩擦、コモディティ価格の下落などを受けて低下傾向で推移、直近5ヵ月は小幅のマイナス成長が続いている。ベトナムでは輸出の増加が続いているものの、足元では米中貿易摩擦が激化、米国の景気減速懸念が浮上するなど外部環境は悪化しており、輸出停滞が長期化する懸念は高まってきている。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、4月はEU向け(同4.5%減)が引き続き低迷した一方、北米向け(同4.7%増)の上昇ペースが加速した(図表2)。東アジア向け(同1.9%減)と東南アジア向け(同0.8%減)は減少傾向で推移しているものの、マイナス幅が縮小した。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、4月はEU向け(同4.5%減)が引き続き低迷した一方、北米向け(同4.7%増)の上昇ペースが加速した(図表2)。東アジア向け(同1.9%減)と東南アジア向け(同0.8%減)は減少傾向で推移しているものの、マイナス幅が縮小した。
タイの19年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.6%減(前月:同4.9%減)と、マイナス幅が縮小した。輸出は今年2月に大規模軍事訓練後の武器の出荷と貨幣用金が牽引して一時的に急伸したものの、基調としては昨年後半から米中貿易摩擦や世界経済の減速など先行きの不透明感が強まるなかで電子機器を中心に減少傾向にある。また輸入額が前年同月比0.7%減(前月:同7.6%減)とマイナス幅が縮小した結果、貿易収支は14.6億ドルの赤字となり、前月から34.6億ドル悪化した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同4.2%減(前月:同6.0%減)と低迷した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、自動車・部品(同0.7%増)や家電製品(同6.3%増)、石油化学製品(同0.4%増)がプラスとなったものの、主力の電子機器(同8.3%減)と機械・装置(同4.2%減)が低迷した。一方、鉱業・燃料は同0.8%増(前月:同13.8%減)と、石油製品を中心に上昇してプラスとなった。また農産物・加工品も同3.9%増(前月:同3.2%減)と上昇した。天然ゴム(同32.0%減)とゴム製品(同20.5%減)は国際価格下支えを目的とした供給削減によって急減したものの、加工食品(同3.1%増)と飲料(同11.9%増)持ち直した。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同4.2%減(前月:同6.0%減)と低迷した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、自動車・部品(同0.7%増)や家電製品(同6.3%増)、石油化学製品(同0.4%増)がプラスとなったものの、主力の電子機器(同8.3%減)と機械・装置(同4.2%減)が低迷した。一方、鉱業・燃料は同0.8%増(前月:同13.8%減)と、石油製品を中心に上昇してプラスとなった。また農産物・加工品も同3.9%増(前月:同3.2%減)と上昇した。天然ゴム(同32.0%減)とゴム製品(同20.5%減)は国際価格下支えを目的とした供給削減によって急減したものの、加工食品(同3.1%増)と飲料(同11.9%増)持ち直した。
ベトナムの19年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比10.4%増(前月:同7.2%増)と上昇した。輸出の伸び率は今年2月に旧正月に伴い営業日数が減少した影響で一時的に減少したものの、牽引役のアパレル関連が堅調を維持、電気・電子製品が持ち直すなど、勢いを取り戻しつつある。また輸入額も前年同月比19.9%増(前月:同11.3%増)と上昇した結果、貿易収支は5.5億ドルの赤字となり、前月から21.8億ドル悪化した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同11.5%増(前月:同2.3%増)と大きく上昇したほか、コンピュータ・電子部品が同16.7%増(前月:同23.8%増)と二桁増を維持した(図表6)。アパレル関連では、織物・衣類が同9.1%増(前月:同8.8%増)、履物が同15.8%増(前月:同9.8%増)となり、それぞれ好調だった。農産品は、野菜(同34.3%増)と天然ゴム(同7.2%増)が増加する一方、カシューナッツ(同12.3%減)やコーヒー(同22.0%減)、コメ(同20.8%減)が低迷した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同8.4%増(前月:同5.5%増)、地場企業が同15.0%増(前月:同11.5%増)となり、それぞれ2ヵ月連続のプラスとなった。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同11.5%増(前月:同2.3%増)と大きく上昇したほか、コンピュータ・電子部品が同16.7%増(前月:同23.8%増)と二桁増を維持した(図表6)。アパレル関連では、織物・衣類が同9.1%増(前月:同8.8%増)、履物が同15.8%増(前月:同9.8%増)となり、それぞれ好調だった。農産品は、野菜(同34.3%増)と天然ゴム(同7.2%増)が増加する一方、カシューナッツ(同12.3%減)やコーヒー(同22.0%減)、コメ(同20.8%減)が低迷した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同8.4%増(前月:同5.5%増)、地場企業が同15.0%増(前月:同11.5%増)となり、それぞれ2ヵ月連続のプラスとなった。
マレーシアの19年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比4.4%減(前月:同4.8%減)とマイナス幅が縮小した。輸出の基調は昨年から主力の電気・電子製品を中心に増加傾向を維持してきたが、年後半からはベース効果の剥落やパーム油の出荷減少により増勢が鈍化、今年1月には原油需要の低迷を受けて2016年10月以来のマイナス圏に突入した。また輸入額も前年同月比1.4%減(前月:同4.4%減)とマイナス幅が縮小した結果、貿易収支は26.4億ドルの黒字と、前月から8.9億ドル黒字が縮小した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同4.7%減(前月:同6.9%減)と、主力の電気・電子製品(同1.8%減)を中心に低迷した(図表8)。また動植物性油脂(同19.4%減)と化学製品(同5.1%減)が前月に続いて減少した。一方、鉱物性燃料は同0.4%増(前月:同0.4%増)と2ヵ月連続で小幅のプラスとなった。原油(同38.2%減)こそ大幅減となる一方、石油製品(同15.6%増)と天然ガス(同19.4%増)が二桁増となった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同4.7%減(前月:同6.9%減)と、主力の電気・電子製品(同1.8%減)を中心に低迷した(図表8)。また動植物性油脂(同19.4%減)と化学製品(同5.1%減)が前月に続いて減少した。一方、鉱物性燃料は同0.4%増(前月:同0.4%増)と2ヵ月連続で小幅のプラスとなった。原油(同38.2%減)こそ大幅減となる一方、石油製品(同15.6%増)と天然ガス(同19.4%増)が二桁増となった。
インドネシアの19年4月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比13.1%減(前月:同9.4%減)とマイナス幅が拡大した。輸出は昨年前半までは主力のパーム油やゴム製品、石炭などの資源関連が落ち込むなかでも自動車・同部品を支えに堅調に推移してきたが、昨年後半からは世界的な需要減退と商品価格の下落を背景に鉱産物や電気機械が振るわず、減少傾向に歯止めがかからない状況にある。一方、輸入額が前年同月比6.6%減(前月:同7.0%減)とマイナス幅が縮小した結果、貿易収支は25.0億ドルの赤字となり、3ヵ月ぶりに赤字化した(図表9)。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスが同11.0%減(前月:同8.9%減)、石油ガスが同37.1%減(前月:同14.8%減)となり、それぞれ低迷した(図表10)。非石油ガスの内訳をみると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同11.5%減(前月:同8.1%減)と低迷した。製造品のうち、鉄・鉄鋼(同53.3%増)が大幅な増加を続けたものの、電気機械(同28.8%減)や動植物性油脂(同31.2%減)、天然・養殖真珠(同45.4%減)などが減少した。また鉱業品が同6.5%減(前月:同15.4%減)と低迷、農産品も同15.8%減(前月:同3.9%減)と3カ月連続のマイナスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスが同11.0%減(前月:同8.9%減)、石油ガスが同37.1%減(前月:同14.8%減)となり、それぞれ低迷した(図表10)。非石油ガスの内訳をみると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同11.5%減(前月:同8.1%減)と低迷した。製造品のうち、鉄・鉄鋼(同53.3%増)が大幅な増加を続けたものの、電気機械(同28.8%減)や動植物性油脂(同31.2%減)、天然・養殖真珠(同45.4%減)などが減少した。また鉱業品が同6.5%減(前月:同15.4%減)と低迷、農産品も同15.8%減(前月:同3.9%減)と3カ月連続のマイナスとなった。
(2019年06月11日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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