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- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(4月号)~輸出が3ヵ月連続で減少、米国向け急伸も貿易停滞懸念を払拭できず
2019年04月11日
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19年2月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.9%減(前月:同2.1%減)と低下した(図表1)。輸出の伸び率は昨年前半まで堅調に推移していたが、年後半からは海外経済の減速やITサイクルのピークアウト、米中貿易戦争、油価下落などを受けて低下傾向で推移、直近3ヵ月は小幅のマイナス成長が続いている。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、2月は東アジア向け(同6.7%減)と東南アジア向け(同7.2%減)、EU向け(同7.9%減)がそれぞれ低迷した(図表2)。一方、増加傾向を続ける北米向け(同26.6%増)は2月にタイで実施した大規模軍事演習後の武器の出荷により大きく上昇した。これは一時的な輸出の上振れであり、貿易停滞の懸念を払拭するものにはならないだろう。
ASEAN5カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、2月は東アジア向け(同6.7%減)と東南アジア向け(同7.2%減)、EU向け(同7.9%減)がそれぞれ低迷した(図表2)。一方、増加傾向を続ける北米向け(同26.6%増)は2月にタイで実施した大規模軍事演習後の武器の出荷により大きく上昇した。これは一時的な輸出の上振れであり、貿易停滞の懸念を払拭するものにはならないだろう。
タイの19年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比5.9%増(前月:同5.6%減)と上昇した。輸出は昨年前半まで概ね堅調に推移した後、年後半からは米中貿易摩擦や世界経済の減速など先行きの不透明感が強まるなかで電子機器を中心に主要工業製品が減少傾向にあるが、2月は大規模軍事訓練後の武器の出荷と貨幣用金の輸出が牽引してプラスとなった。一方、輸入額は前年同月比10.0%減(前月:同14.0%増)と低下した結果、貿易収支は40.3億ドルの黒字となり、前月から80.7億ドル改善した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同7.5%増(前月:同5.9%減)と上昇した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、主力の電子機器(同8.4%減)や家電製品(同2.9%減)、機械・装置(同0.9%減)、石油化学製品(同3.9%減)、自動車・部品(同12.9%減)などが幅広い品目で低迷したが、その他製造品(同252.5%増)と非貨幣用金(同105.2%増)が大幅に増加した。一方、鉱業・燃料は同1.2%減(前月:同12.0%減)と、石油製品を中心に低迷した。また農産物・加工品も同0.9%減(前月:同2.9%減)と低調だった。ゴム製品(同6.3%増)が3ヵ月ぶりにプラスとなったものの、国際市況が下落している天然ゴム(同15.8%減)とコメ(同21.5%減)が低迷した。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同7.5%増(前月:同5.9%減)と上昇した(図表4)。工業製品の内訳を見ると、主力の電子機器(同8.4%減)や家電製品(同2.9%減)、機械・装置(同0.9%減)、石油化学製品(同3.9%減)、自動車・部品(同12.9%減)などが幅広い品目で低迷したが、その他製造品(同252.5%増)と非貨幣用金(同105.2%増)が大幅に増加した。一方、鉱業・燃料は同1.2%減(前月:同12.0%減)と、石油製品を中心に低迷した。また農産物・加工品も同0.9%減(前月:同2.9%減)と低調だった。ゴム製品(同6.3%増)が3ヵ月ぶりにプラスとなったものの、国際市況が下落している天然ゴム(同15.8%減)とコメ(同21.5%減)が低迷した。
ベトナムの19年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比3.3%減(前月:同8.9%増)と低下した。輸出の伸び率は昨年概ね堅調に拡大していたが、年末に主力の電話・部品が落ち込み、今年2月は牽引役のアパレル関連が伸び悩んで2ヵ月ぶりのマイナスとなった。また輸入額も前年同月比4.6%増(前月:同5.4%増)と低下した結果、貿易収支は7.7億ドルの赤字となり、前月から15.3億ドル悪化した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同2.0%増(前月:同16.3%減)と小幅に増加、コンピュータ・電子部品も同3.1%増(前月:同0.2%減)とプラスに転じた(図表6)。アパレル関連では、織物・衣類が同19.6%減(前月:同32.6%増)と大幅に減少、履物が同2.1%増(前月:同24.7%増)と鈍化した。農産品は、カシューナッツ(同21.3%減)と野菜(同13.0%減)、コーヒー(同24.5%減)、コメ(同30.5%減)など幅広い品目で減少した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同2.9%減(前月:同5.0%増)、地場企業が同4.2%減(前月:同17.8%増)となり、それぞれ減少した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同2.0%増(前月:同16.3%減)と小幅に増加、コンピュータ・電子部品も同3.1%増(前月:同0.2%減)とプラスに転じた(図表6)。アパレル関連では、織物・衣類が同19.6%減(前月:同32.6%増)と大幅に減少、履物が同2.1%増(前月:同24.7%増)と鈍化した。農産品は、カシューナッツ(同21.3%減)と野菜(同13.0%減)、コーヒー(同24.5%減)、コメ(同30.5%減)など幅広い品目で減少した。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同2.9%減(前月:同5.0%増)、地場企業が同4.2%減(前月:同17.8%増)となり、それぞれ減少した。
マレーシアの19年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比9.2%減(前月:同1.0%減)と低下した。輸出の基調は昨年から主力の電気・電子製品を中心に増加傾向を維持してきたが、年後半からはベース効果の剥落やパーム油の出荷減少により増勢が鈍化、今年1月には石油需要の低迷を受けて2016年10月以来のマイナス圏に突入した。また輸入額も前年同月比13.1%減(前月:同3.0%減)と低下した結果、貿易収支は27.1億ドルの黒字と、前月から0.8億ドル黒字が縮小した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同1.4%減(前月:同2.1%増)と、主力の電気・電子製品(同0.6%増)こそ増加傾向を維持したが、航空機(同15.7%減)などの輸送用機器の減少が響いてマイナスとなった(図表8)。また鉱物性燃料は同21.9%減(前月:同4.6%減)と一段と低下した。油価下落と需要減退を受けて石油製品(同33.7%減)と原油(同25.0%減)がそれぞれ低迷した。このほか、動植物性油脂(同18.4%減)に続いて化学製品(同8.6%減)もマイナスとなった 。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同1.4%減(前月:同2.1%増)と、主力の電気・電子製品(同0.6%増)こそ増加傾向を維持したが、航空機(同15.7%減)などの輸送用機器の減少が響いてマイナスとなった(図表8)。また鉱物性燃料は同21.9%減(前月:同4.6%減)と一段と低下した。油価下落と需要減退を受けて石油製品(同33.7%減)と原油(同25.0%減)がそれぞれ低迷した。このほか、動植物性油脂(同18.4%減)に続いて化学製品(同8.6%減)もマイナスとなった 。
インドネシアの19年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比11.3%減(前月:同4.3%減)と低迷した。輸出は主力のパーム油とゴム製品が落ち込むなかでも自動車・同部品を支えに堅調に拡大してきたが、昨年後半からは世界的な需要減退と商品価格の下落を背景に鉱産物や機械類が振るわず、直近4ヵ月連続でマイナス成長となった。また輸入額も前年同月比14.0%減(前月:同2.1%減)と大きく減少した結果、貿易収支は3.3億ドルの黒字となり、前月から13.9億ドル改善した(図表9)。
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスが同10.2%減(前月:同4.1%減)と低迷したほか、石油ガスも同21.7%減(前月:同6.7%減)と大きく減少した(図表10)。非石油ガスの内訳をみると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同8.3%減(前月:同3.4%減)と低迷した。製造品のうち、鉄・鉄鋼(同43.2%増)や自動車・同部品(同6.7%増)、宝飾品(同12.3%増)が増加したものの、主力の動植物性油脂(同20.6%減)、ゴム製品(同15.3%減)、電気機械(同13.5%減)や機械類(同18.0%減)が減少した。また鉱業品が同20.8%減(前月:同6.0%減)と石炭価格の下落を受けて低迷したほか、農産品も同0.9%減(前月:同9.8%増)と4カ月ぶりのマイナスとなった
輸出を品目別に見ると、全体の9割を占める非石油ガスが同10.2%減(前月:同4.1%減)と低迷したほか、石油ガスも同21.7%減(前月:同6.7%減)と大きく減少した(図表10)。非石油ガスの内訳をみると、まず輸出全体の7割を占める製造品が同8.3%減(前月:同3.4%減)と低迷した。製造品のうち、鉄・鉄鋼(同43.2%増)や自動車・同部品(同6.7%増)、宝飾品(同12.3%増)が増加したものの、主力の動植物性油脂(同20.6%減)、ゴム製品(同15.3%減)、電気機械(同13.5%減)や機械類(同18.0%減)が減少した。また鉱業品が同20.8%減(前月:同6.0%減)と石炭価格の下落を受けて低迷したほか、農産品も同0.9%減(前月:同9.8%増)と4カ月ぶりのマイナスとなった
(2019年04月11日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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