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- 2018・2019年度経済見通し-18年4-6月期GDP2次速報後改定
2018年09月10日
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1. 2018年4-6月期は前期比年率3.0%へ上方修正
9/10に内閣府が公表した2018年4-6月期の実質GDP(2次速報値)は前期比0.7%(年率3.0%)となり、1次速報の前期比0.5%(年率1.9%)から上方修正された。4-6月期の法人企業統計の結果が反映されたことにより、設備投資が前期比1.3%から同3.1%へと大幅に上方修正されたことがその主因である。設備投資の上方修正だけで4-6月期の成長率は年率1.2%上振れた。それ以外の需要項目では、住宅投資(前期比▲2.7%→同▲2.4%)、公的固定資本形成(前期比▲0.1%→同0.0%)が若干上方修正された。
2018年4-6月期の設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比12.8%(1-3月期:同3.4%)と7四半期連続で増加し、前期から伸びが大きく加速した。製造業(1-3月期:前年比2.8%→4-6月期:同19.8%)、非製造業(1-3月期:前年比3.6%→4-6月期:同9.2%)ともに前期から伸びを大きく高めた。
好調が続く企業収益に対して設備投資の伸びは緩やかにとどまってきたが、2018年4-6月期は今回の景気回復局面(2013年1-3月期~)で最も高い伸びとなった。設備投資の回復がようやく本格化してきたとみることができるだろう。
ただし、設備投資の回復はあくまでも企業収益の大幅な増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景としたもので、キャッシュフローに対する設備投資の比率は引き続き低水準にとどまっている。企業の投資スタンスが積極化し、キャッシュフローに対する設備投資の水準を大きく引き上げるまでには時間がかかるだろう。
好調が続く企業収益に対して設備投資の伸びは緩やかにとどまってきたが、2018年4-6月期は今回の景気回復局面(2013年1-3月期~)で最も高い伸びとなった。設備投資の回復がようやく本格化してきたとみることができるだろう。
ただし、設備投資の回復はあくまでも企業収益の大幅な増加に伴う潤沢なキャッシュフローを背景としたもので、キャッシュフローに対する設備投資の比率は引き続き低水準にとどまっている。企業の投資スタンスが積極化し、キャッシュフローに対する設備投資の水準を大きく引き上げるまでには時間がかかるだろう。
2. 実質成長率は2018年度1.2%、2019年度0.8%
(2018年7-9月期は自然災害の影響で低成長へ)
2018年4-6月期のGDP2次速報を受けて、8/13に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2018年度が1.2%、2019年度が0.8%と予想する。2018年4-6月期の実績値の上方修正を反映し、2018年度の成長率見通しを0.1%上方修正した。
2018年度の見通しは上方修正したが、豪雨、相次ぐ台風上陸、大地震といった自然災害による悪影響を考慮し、7-9月期の成長率見通しは1次速報時点の前期比年率1.7%から同0.3%へと大幅に下方修正した。
1次速報後に公表された7月の経済指標を確認すると、日本銀行作成の実質消費活動指数(旅行収支調整済)が前月比0.5%となるなど、消費関連指標は比較的堅調だったが、西日本豪雨による工場の稼動停止の影響から鉱工業生産が前月比▲0.1%と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、輸出数量指数(内閣府による季節調整値)は前月比▲1.5%の低下となった。また、前年比で二桁の高い伸びを続けてきた訪日外客数は7月には前年比5.6%(6月:同15.3%)と伸びが大きく鈍化し、当研究所による季節調整値では前月比▲7.7%と急速に落ち込んだ。
8月、9月も相次ぐ台風上陸、北海道胆振東部地震によって経済活動は大きく下押しされる公算が大きい。特に、自然災害による工場の操業停止、空港閉鎖を受けて、製造業の生産活動、インバウンド需要を含めた輸出にその影響が色濃く現れることになろう。現時点では7-9月期の鉱工業生産は前期比▲0.3%、GDP統計の財貨・サービスの輸出は前期比▲0.2%といずれもマイナスに転じると予想している。
2018年4-6月期のGDP2次速報を受けて、8/13に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2018年度が1.2%、2019年度が0.8%と予想する。2018年4-6月期の実績値の上方修正を反映し、2018年度の成長率見通しを0.1%上方修正した。
2018年度の見通しは上方修正したが、豪雨、相次ぐ台風上陸、大地震といった自然災害による悪影響を考慮し、7-9月期の成長率見通しは1次速報時点の前期比年率1.7%から同0.3%へと大幅に下方修正した。
1次速報後に公表された7月の経済指標を確認すると、日本銀行作成の実質消費活動指数(旅行収支調整済)が前月比0.5%となるなど、消費関連指標は比較的堅調だったが、西日本豪雨による工場の稼動停止の影響から鉱工業生産が前月比▲0.1%と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、輸出数量指数(内閣府による季節調整値)は前月比▲1.5%の低下となった。また、前年比で二桁の高い伸びを続けてきた訪日外客数は7月には前年比5.6%(6月:同15.3%)と伸びが大きく鈍化し、当研究所による季節調整値では前月比▲7.7%と急速に落ち込んだ。
8月、9月も相次ぐ台風上陸、北海道胆振東部地震によって経済活動は大きく下押しされる公算が大きい。特に、自然災害による工場の操業停止、空港閉鎖を受けて、製造業の生産活動、インバウンド需要を含めた輸出にその影響が色濃く現れることになろう。現時点では7-9月期の鉱工業生産は前期比▲0.3%、GDP統計の財貨・サービスの輸出は前期比▲0.2%といずれもマイナスに転じると予想している。
自然災害によって景気回復が途切れる可能性は低いだろう。10-12月期は供給制約が緩和される中、復興需要による押し上げも見込まれるため、前期比年率1.9%と再び潜在成長率を上回る成長に復帰すると予想する。
日本経済は、自然災害による振れを伴いながら、基調としては先行きも企業部門(輸出+設備投資)主導の成長が続くことが予想される。ただし、消費の低迷が続く中、原材料費、人件費上昇によるコスト増から企業収益の伸びが鈍化することに伴い設備投資が減速することなどから、経済成長率は徐々に低下するだろう。
日本経済は、自然災害による振れを伴いながら、基調としては先行きも企業部門(輸出+設備投資)主導の成長が続くことが予想される。ただし、消費の低迷が続く中、原材料費、人件費上昇によるコスト増から企業収益の伸びが鈍化することに伴い設備投資が減速することなどから、経済成長率は徐々に低下するだろう。
2019年度は10月に消費税率引き上げ(8%→10%)が予定されているが、前回(2014年度:5%→8%)よりも税率の引き上げ幅が小さいこと、飲食料品(酒類と外食を除く)及び新聞に対する軽減税率、教育無償化、年金生活者支援給付金などが予定されていることから、景気への悪影響は前回よりも小さくなるだろう。また、税率引き上げは2019年度下期からとなるため、年度ベースの影響は2019年度、2020年度ともに1%分(軽減税率導入を考慮すると0.75%分)となる。さらに、消費増税前後には駆け込み需要とその反動減が発生するが、年度途中での引き上げとなるため、駆け込み需要とその反動減は2019年度内でほぼ相殺されることが想定される。
2014年度の実質GDP成長率は消費税率引き上げによる悪影響を主因として▲0.3%のマイナス成長となった。2019年度は消費税率引き上げの影響が前回よりも小さいことに加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う押し上げ効果も期待されることから、経済成長率が大きく落ち込むことは避けられるだろう。
2014年度の実質GDP成長率は消費税率引き上げによる悪影響を主因として▲0.3%のマイナス成長となった。2019年度は消費税率引き上げの影響が前回よりも小さいことに加え、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う押し上げ効果も期待されることから、経済成長率が大きく落ち込むことは避けられるだろう。
(物価の見通し)
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2018年2月に前年比1.0%と3年6か月ぶりに1%(消費税の影響を除くベース)に達したが、エネルギー価格の上昇率鈍化などからその後はゼロ%台後半の推移が続いている。日銀が基調的な物価変動を把握するために重視している「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」(いわゆるコアコアCPI)は2018年3月の前年比0.5%をピークに7月には同0.3%まで上昇率が低下している。
先行きについては、景気回復に伴う需給バランスの改善が続く中、原油価格上昇の影響が遅れて反映される電気代、ガス代を中心にエネルギー価格の上昇率が高まること、外食や運送料など人手不足に起因したサービス価格の値上げが進むことなどから、コアCPI上昇率は2018年末までに1%に達することが予想される。
消費者物価(生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は、2018年2月に前年比1.0%と3年6か月ぶりに1%(消費税の影響を除くベース)に達したが、エネルギー価格の上昇率鈍化などからその後はゼロ%台後半の推移が続いている。日銀が基調的な物価変動を把握するために重視している「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」(いわゆるコアコアCPI)は2018年3月の前年比0.5%をピークに7月には同0.3%まで上昇率が低下している。
先行きについては、景気回復に伴う需給バランスの改善が続く中、原油価格上昇の影響が遅れて反映される電気代、ガス代を中心にエネルギー価格の上昇率が高まること、外食や運送料など人手不足に起因したサービス価格の値上げが進むことなどから、コアCPI上昇率は2018年末までに1%に達することが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年09月10日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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