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2018年05月02日
欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2017年決算数値等に基づく現状分析-
2|Allianz
(1)地域別の業績-2017年の結果-
Allianzは、世界の70カ国以上で生命保険、損害保険、資産管理事業を展開しており、生命保険事業だけでも40か国以上で展開している。
Allianzの生命保険事業の営業利益は、自国のドイツが3割強を占めているが、フランス、スペイン、イタリア等の主要国からも有意な収益を上げており、欧州全体で69%の構成比となっている。
米国の子会社グループは、2017年末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第18位となっており、その営業利益のグループ全体における構成比は24%となっている。
アジア・太平洋は、保険料や営業利益では未だ一ケタ台の構成比であるが、新契約価値では12%を占めており、高い位置付けを有してきている。
(1)地域別の業績-2017年の結果-
Allianzは、世界の70カ国以上で生命保険、損害保険、資産管理事業を展開しており、生命保険事業だけでも40か国以上で展開している。
Allianzの生命保険事業の営業利益は、自国のドイツが3割強を占めているが、フランス、スペイン、イタリア等の主要国からも有意な収益を上げており、欧州全体で69%の構成比となっている。
米国の子会社グループは、2017年末の認容資産ベースで、生命保険・健康保険グループで第18位となっており、その営業利益のグループ全体における構成比は24%となっている。
アジア・太平洋は、保険料や営業利益では未だ一ケタ台の構成比であるが、新契約価値では12%を占めており、高い位置付けを有してきている。
(2)地域別の業績-2016年との比較-
2016年との比較では、会社全体で増収増益となっている。
これは、低金利環境下で、自国のドイツやイタリア等において、引き続き、保証を制限した高効率資本商品へのシフトを進めたこと等による影響であり、さらに、より高い投資マージンが貢献している。
アジアでの営業利益やMCEVは、2016年12月に韓国の生命保険事業を安邦保険グループに売却し、これに関する損益を非営業利益に計上していること等から、2016年に2015年のマイナスからプラスに転じていたが、2017年はこの水準をさらに増加させている。なお、2015年の韓国での営業利益は▲244百万ユーロであった。
新契約価値は、各地域で進展し、全体でも30%増加した。
2016年との比較では、会社全体で増収増益となっている。
これは、低金利環境下で、自国のドイツやイタリア等において、引き続き、保証を制限した高効率資本商品へのシフトを進めたこと等による影響であり、さらに、より高い投資マージンが貢献している。
アジアでの営業利益やMCEVは、2016年12月に韓国の生命保険事業を安邦保険グループに売却し、これに関する損益を非営業利益に計上していること等から、2016年に2015年のマイナスからプラスに転じていたが、2017年はこの水準をさらに増加させている。なお、2015年の韓国での営業利益は▲244百万ユーロであった。
新契約価値は、各地域で進展し、全体でも30%増加した。
(3)地域別展開に関する方針及びトピック
Allianzは、スケールを強化するために、目標を定めた買収に積極的に取り組むとともに、コアでない事業等の売却を進めている、具体的には、保険事業等に関して、以下の地域別展開の見直し等を行っている。
・LV=(Liverpool Victoria)とのジョイントベンチャーによる英国での第3位のリテール保険会社の構築
・信用保険会社Euler Hermesへの投資の増大及びその後の買収(2018年4月に完了)
・ナイジェリアにおけるEnsure Insurance、サウジアラビアにおけるSaudi Fransiの買収
・モロッコにおけるAllianz Marocの設立
・Allianz Irish Lifeの100%子会社化(66.5%出資から100%出資へ)
・台湾における生命保険ポートフォリオの移転
・韓国生命保険会社の売却(2016年)
・Oldenburgische Landesbank AGの売却
・スリランカ第3位の損害保険会社Janashakthi General Insurance Limited (JGIL)の買収
(2018年2月)
なお、Allianzは、インドネシアの生命保険市場において、高いプレゼンスを有し、保険会社Allianz Life Indonesia の99.7%の株式を所有しているが、現地の外資上限規制の導入により、これを80%に引き下げるために、20%程度の株式を現地の会社に売却することを求められている。
また、マレーシアにおいても、外資の出資割合の上限を70%とする規制が導入され、同様の対応を求められている。こうした現地の規制の動向は、Allianzだけでなく、これらの国々にこれまで事業展開してきた全ての外資系保険会社に影響を与える形になっている。
Allianzは、スケールを強化するために、目標を定めた買収に積極的に取り組むとともに、コアでない事業等の売却を進めている、具体的には、保険事業等に関して、以下の地域別展開の見直し等を行っている。
・LV=(Liverpool Victoria)とのジョイントベンチャーによる英国での第3位のリテール保険会社の構築
・信用保険会社Euler Hermesへの投資の増大及びその後の買収(2018年4月に完了)
・ナイジェリアにおけるEnsure Insurance、サウジアラビアにおけるSaudi Fransiの買収
・モロッコにおけるAllianz Marocの設立
・Allianz Irish Lifeの100%子会社化(66.5%出資から100%出資へ)
・台湾における生命保険ポートフォリオの移転
・韓国生命保険会社の売却(2016年)
・Oldenburgische Landesbank AGの売却
・スリランカ第3位の損害保険会社Janashakthi General Insurance Limited (JGIL)の買収
(2018年2月)
なお、Allianzは、インドネシアの生命保険市場において、高いプレゼンスを有し、保険会社Allianz Life Indonesia の99.7%の株式を所有しているが、現地の外資上限規制の導入により、これを80%に引き下げるために、20%程度の株式を現地の会社に売却することを求められている。
また、マレーシアにおいても、外資の出資割合の上限を70%とする規制が導入され、同様の対応を求められている。こうした現地の規制の動向は、Allianzだけでなく、これらの国々にこれまで事業展開してきた全ての外資系保険会社に影響を与える形になっている。
3|Generali
(1)地域別の業績-2017年の結果-
Generaliは、欧州を中心に世界の60カ国以上で事業展開をしている。
各種の指標において、自国のイタリアに加えて、ドイツとフランスで高い構成比を有しているが、さらにその他の欧州における構成比も高いものとなっている。
生命保険の市場シェア及びポジションについて、イタリアでは16.8%で第1位、ドイツでは9.6%で第2位、フランスでは5.1%で第7位のほか、ハンガリーでは10.2%で第1位、チェコでは24.8%で第2位、スロバキアでは7.7%、オーストリアでは13.8%でともに第3位等となっている。
一方で、他の欧州大手保険グループとは異なり、欧州域外でのプレゼンスは高くない。なお、Generaliは、過去に保有していた米国の生命保険事業等を売却する等、事業展開地域等の再編を積極的に進めている。
(1)地域別の業績-2017年の結果-
Generaliは、欧州を中心に世界の60カ国以上で事業展開をしている。
各種の指標において、自国のイタリアに加えて、ドイツとフランスで高い構成比を有しているが、さらにその他の欧州における構成比も高いものとなっている。
生命保険の市場シェア及びポジションについて、イタリアでは16.8%で第1位、ドイツでは9.6%で第2位、フランスでは5.1%で第7位のほか、ハンガリーでは10.2%で第1位、チェコでは24.8%で第2位、スロバキアでは7.7%、オーストリアでは13.8%でともに第3位等となっている。
一方で、他の欧州大手保険グループとは異なり、欧州域外でのプレゼンスは高くない。なお、Generaliは、過去に保有していた米国の生命保険事業等を売却する等、事業展開地域等の再編を積極的に進めている。
(3)地域別展開に関する方針及びトピック
Generaliは、保険事業に関して、例えば、以下の地域別展開の見直し等を行っている。
2014年7月には、スイスのプライベート・バンキング・ユニットのBSIを売却する等して、資本ポジションを高めるとともに、非伝統的非保険事業(non-traditional and non-insurance activities)の規模を引き下げてきている。こうした動き等を受けて、Generaliは、2015年11月3日にFSBが公表したG-SIIsのリストから外されている。
なお、Generaliは、2016年11月26日に開催した「投資家の日(Investor Day)」において、現在事業展開している市場を、(1)既に一定のプレゼンスを有して、規模があり魅力的な市場(6~9市場)、(2)プレゼンスが十分でないが魅力的な市場(16~18市場)、(3)魅力的な市場でもなくプレゼンスも無い市場(13~15市場)、の3つに分類して、(3)については合理化を進めることを計画している、と述べていた。
Generaliは、国際的な活動領域の最適化のため、売却等により、少なくとも10億ユーロのキャッシュの生成を目標としているが、2017年末の時点で、既にその半分以上を契約し、今後さらなる取引を公表する予定であるとしている。
具体的には、これまでに、以下の取引等が行われてきている。
・オランダのGenerali Netherland N.V.のオランダの保険会社ASRへの売却
(2017年9月契約締結、2018年2月売却完了)
・アイルランドのGenerali Pan Europeの売却の契約締結(2017年12月)
・リヒテンシュタインにおける資産の売却(2016年に契約締結)
・グアテマラの事業の売却(2017年に完了)
・コロンビアの事業の売却(2017年7月契約締結、2018年中に完了予定)
・ドイツの生命保険事業のランオフ、低業績のリテール損保事業の切り捨ての意向表明
・ベルギーの保険事業の売却合意(2018年4月)
Generaliは、保険事業に関して、例えば、以下の地域別展開の見直し等を行っている。
2014年7月には、スイスのプライベート・バンキング・ユニットのBSIを売却する等して、資本ポジションを高めるとともに、非伝統的非保険事業(non-traditional and non-insurance activities)の規模を引き下げてきている。こうした動き等を受けて、Generaliは、2015年11月3日にFSBが公表したG-SIIsのリストから外されている。
なお、Generaliは、2016年11月26日に開催した「投資家の日(Investor Day)」において、現在事業展開している市場を、(1)既に一定のプレゼンスを有して、規模があり魅力的な市場(6~9市場)、(2)プレゼンスが十分でないが魅力的な市場(16~18市場)、(3)魅力的な市場でもなくプレゼンスも無い市場(13~15市場)、の3つに分類して、(3)については合理化を進めることを計画している、と述べていた。
Generaliは、国際的な活動領域の最適化のため、売却等により、少なくとも10億ユーロのキャッシュの生成を目標としているが、2017年末の時点で、既にその半分以上を契約し、今後さらなる取引を公表する予定であるとしている。
具体的には、これまでに、以下の取引等が行われてきている。
・オランダのGenerali Netherland N.V.のオランダの保険会社ASRへの売却
(2017年9月契約締結、2018年2月売却完了)
・アイルランドのGenerali Pan Europeの売却の契約締結(2017年12月)
・リヒテンシュタインにおける資産の売却(2016年に契約締結)
・グアテマラの事業の売却(2017年に完了)
・コロンビアの事業の売却(2017年7月契約締結、2018年中に完了予定)
・ドイツの生命保険事業のランオフ、低業績のリテール損保事業の切り捨ての意向表明
・ベルギーの保険事業の売却合意(2018年4月)
(2018年05月02日「基礎研レポート」)
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