- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 景気ウォッチャー調査(17年12月)~現状は高水準を維持も、先行き懸念高まる~
3.景気の先行き判断DI(季節調整値):家計・企業・雇用関連の全分野で悪化
企業動向関連では、「欧州市場向けと東南アジア市場向けを中心に、オートバイ関連の受注が依然として堅調に推移している。当面は現状ベースの受注量となる見込みである。国内においても、産業機械分野からの受注が堅調であり、国内投資の好調さがうかがえる」(北陸・一般機械器具製造業)など、今後も好調な受注や設備投資の増加を見込む企業が目立った。一方で、「包装資材や小麦等原材料の値上がりを製品価格に転嫁することができず利益を圧迫すると推測する」(四国・食料品製造業)や「人手不足によってトラック配送の手配が難しく、他の運送会社への依頼費用も増えている。さらに、軽油価格も上昇しているため、厳しい状況に向かっている」(北陸・輸送業)など、コストの増加により収益が圧迫することを懸念するコメントが幅広い業種でみられた。また、「ますますトラック不足の影響が出てくると思われる。受注してもデリバリーの状況が悪ければ、今後の失注につながる」(近畿・金属製品製造業)や「売上が若干ではあるが増加傾向にあり、受注案件も増えているので出荷量は増加する。問題は搬送のトレーラー不足、特に運転手不足であり、出荷に影響が出る」(九州・鉄鋼業)など、輸送業の人手不足は、製造業の出荷が滞る原因にもなってきているようだ。
雇用関連では、「人手不足の改善傾向がみられないなか、賃金上昇に伴う人件費の増加と求人に掛かる経費の増加で求人意欲が低下している業種があり、今後の企業活動への影響が懸念される」(北海道・求人情報誌製作会社)と、採用活動や雇用後のコスト増加を懸念して求人活動に消極的になっている企業が存在するようだ。一方、「先行きの状況が大きく改善することは期待できない。ただし、以前から視野を広げて、高卒を含む新卒や、シニア、女性などの採用を模索する地場企業も少しずつ増えてきており、成果も出てきている」(東北・人材派遣会社)など、労働力確保のため採用に当たって門戸を広く開いている企業もみられる。
景況感は高水準で推移しているが、先行きは2ヵ月連続で悪化し、物価上昇に伴う消費の落ち込みやコスト上昇による収益悪化など、懸念が高まっている。企業の受注は好調だが、人手不足により十分に対応できない状況が続いている。特に、輸送業の人手不足は、製造業の出荷にも悪影響を与えている。雇用環境は改善しており、企業活動も活発なことから、景況感のD.I.が50を下回るほど悪化する可能性は低いが、一段と景況感が改善するハードルは高く、今後は横ばい圏での推移が続きそうだ。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
このレポートの関連カテゴリ
白波瀨 康雄
研究・専門分野
(2018年01月15日「経済・金融フラッシュ」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月30日
ドイツのリースター年金改革案に思う-終身性と安定性なくして年金制度の手本たりうるか- -
2024年04月30日
2024年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.4%(年率▲1.6%)を予測~ -
2024年04月30日
イメージする更年期症状は、実際の症状と結構違う~実際はホットフラッシュやイライラばかりではない -
2024年04月30日
鉱工業生産24年3月-1-3月期は大幅減産だが、明るい材料も見られる -
2024年04月30日
公取委によるGoogleの確約計画認定-検索連動型広告市場の独占
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【景気ウォッチャー調査(17年12月)~現状は高水準を維持も、先行き懸念高まる~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
景気ウォッチャー調査(17年12月)~現状は高水準を維持も、先行き懸念高まる~のレポート Topへ