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- 貸出・マネタリー統計(17年11月)~個人預金通貨の伸び率が統計開始以来の最高に
2017年12月11日
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3.マネーストック: 個人預金通貨の伸び率が統計開始以来の最高に
M3の内訳を見ると、最大の項目である預金通貨(普通預金など)の伸び率が前年比7.7%(前月は7.9%)と2ヵ月連続で低下し(図表10)、M3全体の伸び鈍化に繋がった。一方、現金通貨の伸び率が前年比4.9%(前月改定値は4.7%)と上昇したほか、準通貨(定期預金など、前月改定値▲1.2%→当月▲1.1%)の伸び率がマイナス幅を縮小、CD(前月改定値▲0.2%→当月0.1%)がプラスに転じ、M3の下支えに寄与した(図表10・11)。
M3に投信や外債といったリスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は前年比3.9%(前月改定値は4.1%)とM3以上に低下した(図表9)。伸び率の低下は13ヶ月ぶりとなる。
残高規模が大きく、これまでの上昇を牽引してきた金銭の信託(前月改定値7.7%→当月7.2%)の伸びが大きく低下したうえ(図表11)、円安幅の縮小を背景に外債(前月改定値17.7%→当月13.6%)の伸びも低下したことが影響した。
なお、家計が大半を保有し、注目度の高い投資信託(元本ベース)の伸び(前月改定値0.7%→当月0.5%)は引き続き低迷2。前年比横ばい圏での推移が続いている。投資信託の低迷については、金融庁の批判を受けて、かつての大ヒット商品であった毎月分配型投信が販売自粛されていることや、株価上昇に伴う利益確定売りの影響もあるが、基本的には慎重な家計の投資マインドを反映したものと考えられる。一方で、家計保有の預金通貨(普通預金など)の伸び率は上昇に歯止めがかかっておらず、現行統計開始(2003年4月、伸び率は2004年4月)以来の高い伸び(10月時点で前年比7.7%3・図表12)を記録。株高に伴う利益確定売りが活発化し、売却資金が普通預金に滞留している可能性もあるが、いずれにせよ、「貯蓄から投資へ」の動きは確認できない。
M3に投信や外債といったリスク性資産等を含めた広義流動性の伸び率は前年比3.9%(前月改定値は4.1%)とM3以上に低下した(図表9)。伸び率の低下は13ヶ月ぶりとなる。
残高規模が大きく、これまでの上昇を牽引してきた金銭の信託(前月改定値7.7%→当月7.2%)の伸びが大きく低下したうえ(図表11)、円安幅の縮小を背景に外債(前月改定値17.7%→当月13.6%)の伸びも低下したことが影響した。
なお、家計が大半を保有し、注目度の高い投資信託(元本ベース)の伸び(前月改定値0.7%→当月0.5%)は引き続き低迷2。前年比横ばい圏での推移が続いている。投資信託の低迷については、金融庁の批判を受けて、かつての大ヒット商品であった毎月分配型投信が販売自粛されていることや、株価上昇に伴う利益確定売りの影響もあるが、基本的には慎重な家計の投資マインドを反映したものと考えられる。一方で、家計保有の預金通貨(普通預金など)の伸び率は上昇に歯止めがかかっておらず、現行統計開始(2003年4月、伸び率は2004年4月)以来の高い伸び(10月時点で前年比7.7%3・図表12)を記録。株高に伴う利益確定売りが活発化し、売却資金が普通預金に滞留している可能性もあるが、いずれにせよ、「貯蓄から投資へ」の動きは確認できない。
2 投資信託のデータは、今回過去に遡って大きく改定されている。
3 預金通貨の保有内訳(一般法人と個人)の公表は1ヵ月遅れるため、直近は10月分となる。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年12月11日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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