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- 景気ウォッチャー調査(17年8月)~現状は天候要因が下押し、先行きは堅調~
2017年09月11日
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1.景気の現状判断DI(季節調整値):天候要因が下押しも、前月から横ばい
9月8日に内閣府から公表された2017年8月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状判断DI(季節調整値)は49.7と前月から横ばいとなった。家計関連が悪化したものの、企業関連、雇用関連は改善し、全体では横ばいとなった。なお、内閣府は、基調判断を「持ち直しが続いている」に据え置いた。
今回の調査では、家計関連は、長雨の影響で東日本を中心に来客数が伸び悩み、小売やレジャー施設関連の景況感を押し下げた。また、住宅関連でも、消費者が購入に慎重な姿勢をみせている。ただし、百貨店は富裕層や訪日外国人の消費活動が活発のようだ。企業関連では、製造業で引き続き受注が好調に推移している。また、雇用関連では、人材を確保するため、正社員の求人数も増えてきている。
今回の調査では、家計関連は、長雨の影響で東日本を中心に来客数が伸び悩み、小売やレジャー施設関連の景況感を押し下げた。また、住宅関連でも、消費者が購入に慎重な姿勢をみせている。ただし、百貨店は富裕層や訪日外国人の消費活動が活発のようだ。企業関連では、製造業で引き続き受注が好調に推移している。また、雇用関連では、人材を確保するため、正社員の求人数も増えてきている。
2.天候不順が景況感を下押し

住宅関連では、「見学会などイベントには積極的に参加するものの、契約には慎重な判断をする客が増えており、営業活動が長期化している」(中国・住宅販売会社)や「来客数はあまり変わらないが、客の予算が少し減ってきており、高額な物件の成約率が低くなってきている」(北海道・住宅販売会社)など前月から引き続き住宅の購入に慎重な消費者が増えているようだ。
企業動向関連では、製造業(前月差+2.3ポイント)が大きく改善した一方、非製造業(同▲0.2ポイント)は小幅ながら悪化した。コメントをみると、「自動車関連を中心に荷動きが活発で、特にハイブリッド車や電気自動車関連が増産傾向にある。それ以外でも、日本から供給している部品は好調である」(近畿・金属製品製造業)や「前月に引き続き、産業機器、電子材、工具鋼分野で堅調な受注が継続している」(中国・鉄鋼業)など製造業では幅広い業種で受注が好調のようだ。一方で、「新素材の使用や品質基準の高まりに伴って製造コストが急上昇している。また、特殊商品の増加が製造コスト上昇の一因となっているが、販売価格は据置きが多く、人件費など経費上昇が続いている」(中国・その他製造業[スポーツ用品])など人件費や原材料費の上昇を販売価格に転嫁できないというコメントもみられた。
雇用関連では、「幅広い企業から技術系、営業、経理、財務など様々な求人が常時ある。従来の50歳までから、職種によっては定年退職後の人材の求人も出るようになってきている」(南関東・民間職業紹介機関)など、幅広い職種と年齢層で人材を募集しているようだ。また、「アルバイト、パートの求人が前年並みとなっている一方で、正社員の求人の増加が目立つようになってきている。アルバイトを採用しづらくなってきていることで、小売や飲食などでの正社員求人も増えてきている」(北海道・求人情報誌製作会社)や、「新規求人数は、ほぼ全産業で増加傾向が続き、特に正社員求人が増えている。特徴としては、製造業では機械、電機関連が増加し、卸売、小売業では正社員求人の増加が目立っている」(近畿・職業安定所)など、正社員の求人数も増加傾向にあるようだ。
(2017年09月11日「経済・金融フラッシュ」)
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白波瀨 康雄
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