2017年07月18日

急増する国内外国人人口・世帯数

竹内 一雅

文字サイズ

2政令指定都市と東京都区部の外国人人口
次に、政令指定都市等(本稿では東京都区部を含む21都市)における外国人人口と世帯数の増加の現況を整理する。

政令指定都市等の21都市においても外国人人口は急増しているが、2016年の外国人人口の平均増加率は+6.6%増で、全国平均の+6.9%増を下回っている(図表-26)。21都市の中で、外国人人口の増加率が全国平均を上回ったのは9都市、下回ったのは12都市だった。増加率が全国平均を大きく上回ったのは札幌市や相模原市、さいたま市、都区部、川崎市などであり、特に低かったのが京都市や堺市、静岡市、神戸市、新13,14

政令指定都市等の外国人人口比率をみると、大阪市で4.7%と最も高く、次いで都区部の4.4%、名古屋市の3.2%、京都市の3.0%と続いている(図表-27)。外国人人口比率が低いのは、札幌市、新潟市、熊本市だった。
図表-26:政令指定都市等の外国人人口増加数・増加率(2016年初、前年比)/図表-27:政令指定都市別の外国人人口と外国人人口比率(2017年初)
政令指定都市等で「外国人を含む世帯」の増加率が最も高いのは札幌市で、次いで相模原市、都区部だった(図表-28)。東京都区部では、2016年の一年間に、「外国人を含む世帯」は2万5千世帯の増加で、これは全国の増加数の20.3%に相当する。と同時に、都区部での日本人を含む総世帯増加数の30.5%を占めている(図表-29)。「外国人を含む世帯」の増加数が、市の世帯増加数に占める比率が最も高いのは、北九州市の48.4%だった。
図表-28:政令指定都市別の外国人を含む世帯の増加数・増加率(2017年初、前年比)/図表-29政令指定都市別の外国人を含む世帯比率(2017年初)と世帯増加数に占める比率(前年比)
 
13 熊本市での外国人人口の増加は2016年に+2.3%と小さかったが、2015年には+4.5%の増加であり、2016年の増加率の低さは熊本地震の影響と思われる。
14 政令指定都市と都区部の21都市のうち、日本人人口が減少したのが9都市であった。このうち、日本人人口の減少幅が大きかったのが北九州市(▲5,588人減)、静岡市(▲3,407人減)、新潟市(▲2,994人減)、神戸市(▲2,992人減)など。なお、相模原市は日本人人口が▲727人減、外国人人口が+1,065人だったため、外国人人口の増加により市の総人口は増加となった。
 

4――東京都区部の外国人口

4――東京都区部の外国人人口

1全国市区町村別の外国人人口ランキング
在留外国人統計によると、20116年末時点で国内の外国人人口(在留外国人数)の17.8%が東京都区部に集まっている。

全国の市区町村別のランキングをみても、外国人人口が最も多いのは東京都新宿区で、外国人の集積が多い20市区中、東京都の区は14を占めるなど、都区部ではそれぞれの区にも多くの外国人が在留し、その増加数も多い(図表-30)。以下では東京都区部での外国人人口の増加の状況をみていく。
図表-30:市区別にみた在留外国人人口ランキングとその増加数・増加率(2016年末、前年比)
2東京都区部外国人人口の概況
住民基本台帳に基づく人口によると、東京都には、2016年の一年間に全国で増加した外国人人口の1/4(25.3%)が、都区部には1/5(21.5%)が集中している。都区部でも日本人人口の増加が頭打ちになる中で、外国人人口の存在感が高まっている。

東京都区部における2016年の外国人人口の増加率は8.5%と日本人の0.7%を大きく上回っている。外国人人口は増加率だけでなく、一年間の増加数も+3万2千人へと拡大しており、総人口の増加数(+9万7千人)に占める外国人の比率は32.9%に達した。なお、日本人の増加の大部分(87.2%)が社会増(国内他地域からの人口純流入)によるもので、外国人の増加の大部分(99.8%)は海外からの転居などが占めている(図表-31)。
図表-31:東京都区部の日本人・外国人別人口と増加数の概況(2017年初、前年比)
東京都の「外国人人口」によると、東日本大震災後に2年連続して外国人の人口は減少したが、その後、2013年(1/1時点)を底に急速に増加に転じている(図表-32)。2017年1月に外国人人口は41万1千人に達し、都区部総人口に占める比率も4.41%となった(2016年は4.11%)。2016年の一年間の外国人の増加数(+3.2万人増)は、1988年の+3.0万人の増加を上回り1980年以降で最大の増加となった(図表-33)。
図表-32:都区部の外国人数・増加率(各年1/1時点)/図表-33:都区部の人口増加数(日本人・外国人)と年初の外国人人口比率(各年1/1時点、前年比)
3東京都区部の出身国籍・地域別の外国人人口
東京都区部の外国人人口の出身国籍・地域では、中国出身が最も多く、全体の38.9%を占め、次いで韓国、ベトナム、フィリピン、ネパール、台湾の順となっている(図表-34、全国では中国の構成比は29.0%(図表-13))。

最近の都区部における外国人人口の国籍・地域別の推移・増減を示したのが図表-35から図表-39である。中国やベトナム、ネパール、ミャンマーなどの出身者が急増する一方、韓国・朝鮮や欧米諸国はリーマンショック以降の下落などからまだ本格的に回復したとはいえない状況にある。
図表-34:都区部外国人人口の出身国籍・地域別構成比(2017年初)/図表-35:都区部外国人人口の出身国籍・地域別人口①(各年1/1時点)
図表-36:都区部外国人人口の出身国籍・地域別人口②(各年1/1時点)/図表-37:都区部外国人人口の出身国籍・地域別人口③(欧米諸国、各年1/1時点)/図表-38:都区部の出身国籍別増加数(各年1/1時点)/図表-39:都区部の出身国籍別外国人人口増加率(2014年-2016年、前年比)
Xでシェアする Facebookでシェアする

竹内 一雅

研究・専門分野

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【急増する国内外国人人口・世帯数】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

急増する国内外国人人口・世帯数のレポート Topへ