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オフィス・ホテル・物流市場では供給消化が好調維持の鍵-不動産クォータリー・レビュー2017年第1四半期

加藤 えり子
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ホテル需要を喚起してきた訪日外客数の増加は継続し、過去12ヶ月合計値は2,400万人を超えているが、増加のペースはやや鈍化している(図表-16)。宿泊統計によれば、外国人の延べ宿泊者数は、2016年10月以降マイナスとなる月が散見される(図表-17)。訪日外客数が増加しながら外国人宿泊者数がそれに追随しきれないことの要因には、民泊利用の拡大などがある。主要都市に立地するホテルを調査対象としている「週刊ホテルレストラン」のデータによれば、2017年3月時点と2016年3月時点を比較すると、東京・大阪を含む多くの都市で過去1年間の平均客室稼働率の低下が見られる(図表-18)。特に横浜と名古屋の低下幅が大きいが、一方で福岡、京都、広島では上昇している。福岡は、ライブ等のイベントがある場合には客室数の不足が続いており、京都・広島は観光都市としての高い認知度が寄与していると考えられる。東京・大阪では、高額な都心部のホテルから周辺部への需要移転が生じたことも稼働率がやや低下した要因となった。とはいえ主要都市の多くでホテル稼働率は過去平均より高い水準にあり、堅調な需要を背景に引き続き既存ホテルへの投資が活発で、新規開発計画も相次いでいる。2016年度の宿泊業用建築物の着工床面積は、前年比+89%、着工棟数は+40%の大幅増となった(図表-19)。需要が民泊や周辺立地のホテルに拡散する中で、高額で開発用地を仕入れてビジネスホテルを開発する、あるいは新規にホテル開発に参入する事例が多数あるため、今後は立地やグレードによっては需給が緩む可能性もある。ホテル開発・運営においては、ターゲット層を明確化し、需要を的確に捉えた供給が求められる。
CBREによれば、2017年第1四半期の大型マルチテナント型物流施設の空室率は、首都圏が6.5%であるのに対し、近畿圏は17.4%まで上昇している(図表-20)。
大規模物流施設の供給は、eコマース需要の拡大による需要増などへの期待を背景に、首都圏・大阪圏において高水準が続いている(図表-21、22)。日本ロジスティクスフィールド総合研究所によれば、2016年の首都圏の供給面積は190万㎡で、これまでにない供給量であったが、需要面積も176万㎡と高水準となったため空室率の大幅な上昇は見られなかった。2017年の供給量は2016年を下回る見込みだが、2018年は250万㎡を超える供給量となることから、さらに需要が拡大しなければ市況が悪化する可能性がある。
一方、大阪圏の2016年の供給面積は71万㎡で、経済規模に比して供給面積が大きく、空室率は大幅に上昇した。大阪圏では、2017年に130万㎡、2018年に94㎡と2016年を上回る供給予定があることから、引き続き空室率は高水準で推移することが予想される。ただし大阪圏では、湾岸部に比べると消費地への配送拠点である内陸部の需要が底堅い模様であり、賃料も高めの傾向がある。
大規模物流施設の火災事故があった影響から、今後は防災や消火活動について、施設や運営者の対応がより高いレベルで求められることから、投資運用物件においても費用が増加すると思われる。
(2017年05月08日「不動産投資レポート」)
加藤 えり子
加藤 えり子のレポート
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