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- 貸出・マネタリー統計(17年3月)~銀行貸出では薄利多売化が進行
2017年04月14日
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1.貸出動向: 貸出の伸び率は2009年5月以来の高水準
次に、為替変動等の影響を調整した「特殊要因調整後」の銀行貸出伸び率(図表1)1を見ると、直近判明分である2月の伸び率は前年比2.9%と2009年6月(3.1%)以来の高水準を記録。前述の見た目の銀行貸出の伸び率上昇には、円高の一巡(図表4)に伴って外貨建て貸出の円換算額が持ち直したことも影響しているが、為替変動の影響を除いた実勢としても、増勢は強まっている。
一方、新規貸出金利は極めて低い水準での推移を続けている(図表5)。10年国債利回りの持ち直しを受けて、長期(一年以上)は下げ止まっているものの、明確な上昇の兆しは見られない。また、短期(一年未満)はまだ低下基調が続いている。
銀行貸出は、金利が極めて低い水準に留まる中で増勢を強めており、「薄利多売」の様相を呈している。貸出の増加については、相次ぐ企業のM&A向け資金需要や、相続税対策の貸家建設に伴うアパートローン需要といった需要側の要因ももちろんあるが、低金利という逆風が続くなかで、銀行側が対策として資金の「薄利多売」を推進している面も大きいとみられる。
一方、新規貸出金利は極めて低い水準での推移を続けている(図表5)。10年国債利回りの持ち直しを受けて、長期(一年以上)は下げ止まっているものの、明確な上昇の兆しは見られない。また、短期(一年未満)はまだ低下基調が続いている。
銀行貸出は、金利が極めて低い水準に留まる中で増勢を強めており、「薄利多売」の様相を呈している。貸出の増加については、相次ぐ企業のM&A向け資金需要や、相続税対策の貸家建設に伴うアパートローン需要といった需要側の要因ももちろんあるが、低金利という逆風が続くなかで、銀行側が対策として資金の「薄利多売」を推進している面も大きいとみられる。
1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは2月分まで。
2.マネタリーベース: 増加ペースがやや鈍化
(2017年04月14日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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