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- 鉱工業生産17年2月~1-3月期は4四半期連続の増産へ、世界的なITサイクルの改善を受けて好調が続く
2017年03月31日
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1.2月の生産は市場予想を上回る

2月の生産を業種別に見ると、高い伸びが続いていた電子部品・デバイスは前月比▲1.6%と5ヵ月ぶりに低下したが、輸出の回復を反映し、はん用・生産用・業務用機械(前月比4.9%)、輸送機械(同4.7%)が高い伸びとなったほか、インバウンド需要の持ち直しを受けて化粧品などの化学(除く医薬品)が前月比7.2%の高い伸びとなった。
速報段階で公表される15業種中9業種が前月比で上昇、6業種が低下した。

16年10-12月期のGDP統計の設備投資は前期比2.0%と2四半期ぶりの増加となった。円高を主因として16年前半に大幅に落ち込んだ企業収益は、円高の一巡や海外経済の回復に伴い16年後半には回復に転じた。企業収益の回復に伴う潤沢なキャッシュフローを背景として、先行きの設備投資は持ち直しの動きがより一層明確になる可能性が高い。
消費財出荷指数は16年10-12月期の前期比3.4%の後、17年1月が前月比▲0.7%、2月が同1.4%となった。2月は耐久消費財(前月比3.5%)、非耐久消費財(前月比1.3%)ともに前月比で上昇した。本日発表された家計調査やその他の消費関連指標の結果と合わせて考えると、個人消費は持ち直しの動きが続いていると考えられる。
2.1-3月期は4四半期連続の増産へ
製造工業生産予測指数は、17年3月が前月比▲2.0%、4月が8.3%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(2月)、予測修正率(3月)はそれぞれ▲2.2%、1.0%であった。

翌月の生産計画が前年比で二桁の伸びとなったのは、消費税率引き上げ前の駆け込み需要で生産活動が大きく押し上げられていた14年1月調査以来である。これまで慎重姿勢を続けてきた企業心理が強気に転じる兆候と見ることもできるだろう。

海外経済が製造業を中心に回復基調を強める中、特に世界的なITサイクルが大きく改善していることが日本の輸出、生産を大きく押し上げている。国内需要は依然として力強さに欠けているものの、好調な輸出に支えられる形で国内の生産活動は当面底堅い動きを続ける可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年03月31日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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