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九州のインバウンド観光需要-九州における訪日外国人旅行者の特性と需要動向

竹内 一雅
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クルーズ船の日本への寄港回数は急増している。2015年の1,454回(日本船・外国船の合計)から2016年は11月までで1,907回となった(1~11月は前年比+38.2%増)(図表-7)。寄港回数の増加に伴いクルーズ船による入国者数も急増し、2015年の全国107.1万人から、2016年は10月までで166.9万人となった(1~10月は前年比+85.6%増)(図表-8)。
クルーズ船入国者に占める九州の港湾からの入国者構成比は高く、全国の71.2%に達する(2016年1~10月実績)。特に、博多港と長崎港は重要であり、博多港の受入れは全国の40.0%、長崎港は20.6%に達している4(同上)(図表-9、10)。
九州の外国人入国者の大きな特徴として、海港からの入国が50.9%(全国は10.3%)、空港からの入国が全体の49.1%(全国は89.7%)と、海港からの入国が半数を占める点があげられる(2016年1~10月実績)(図表-11)。クルーズの比率は、すでにみたように38.9%(全国は7.9%)と4割近い比率を占めているが、クルーズ以外の海港からの入国(主に博多港5と対馬の港湾で韓国からの入国)も11.9%(全国は2.4%)に達している。
港湾別には、福岡空港が外国人入国者全体の43.2%を占め、次いで博多港の26.3%、長崎港11.7%、比田勝港(対馬)4.8%、鹿児島港3.2%、厳原港(対馬)2.2%、鹿児島空港2.1%と続いている(2016年1~10月実績)(図表-12)。このように、福岡空港と博多港で九州全体の69.5%を占めており、福岡空港と博多港での旅客機や船舶の受入れが上限に達していることを考えると、他の港湾を通じた入国者受入れの早急な拡大が求められる。
4 博多港におけるクルーズ船入国者数の前年比増加幅が縮小しているのは、博多港の受入れのキャパシティが上限に達しているためである。後述するように、博多港では中央埠頭の埋め立てを含めた整備計画が進行中である。
5 博多港からの外国人入国者数は2016年1~10月に80万3千人だったが、このうちクルーズ船による比率が83.2%と大多数を占めている。長崎港も同様であり、35万6千人の入国者のうち、96.5%がクルーズ船によるものだった。
6 本稿ではクルーズ船による外国人入国者数を出入国管理統計の特例上陸許可のうちの船舶観光上陸の数値を用いている。この場合、2015年のクルーズ船による外国人入国者数は107万2千人であり、政府公表の111.6万人(概数)とは相違がある。これは、既述のように、数次ビザなどを使ってクルーズ船で入国する入国者がいるためで、これらの入国者は船舶観光上陸としてカウントされない。なお、特例上陸許可の項目としては、船舶観光上陸の他に、寄港地上陸や通過上陸、乗員上陸、緊急上陸、避難上陸、一時庇護上陸などがある。
7 福岡市「博多港港湾計画書-改定-」(平成28年3月)を参照のこと。
8 外航クルーズの寄港回数は2014年の99回から2015年には既に245回に拡大している。このため、中央埠頭整備完了後には400回を上回る寄港が期待される。
(2017年01月06日「不動産投資レポート」)
竹内 一雅
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