2016年11月08日

オフィス賃料は反発も、インバウンド需要のピークアウトが商業施設、ホテルに影響~不動産クォータリー・レビュー2016年第3四半期~

  増宮 守

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3.不動産サブセクターの動向

(1) オフィス
東京の賃貸オフィス市場では、空室率上昇に先んじて下落していたAクラスビル賃料に反発がみられた(図表-12)。第3四半期には、住友不動産六本木グランドタワー(貸室面積、約3.1万坪)が約6割の稼働率で竣工した影響などから空室率がやや悪化し、Aクラスビル2、都心3区大規模ビルでそれぞれ2.9%(前期2.6%)、2.6%(同2.1%)に上昇した。一方、賃料は反発し、成約賃料データに基づくAクラスビルのオフィスレント・インデックスは前期比+6.5%の33,703円に上昇した。ただし、2015年3Qに一旦ピークアウトした後の自律反発とみられる。

一方、Bクラスビルにも需給悪化の影響が及び、空室率が上昇に転じて2.6%(前期2.5%)となった。賃料も弱含み、前期比-0.4%の19,273円に下落した(図表-13)。
図表-12 東京Aクラスビル賃貸オフィス市場(共益費除き)
図表-13 東京Bクラスビル賃貸オフィス市場(共益費除き)
2016年上期には、複数の超高層ビルの満室および高稼働の竣工により賃貸面積が大きく拡大したが(図表-14)、その後は新規供給の縮小に伴い、新たなオフィス需要は途絶えていた。6月以降の空室率の改善は、ほとんどが貸室面積(オフィスストック)の縮小に起因しており、非常に低い空室率から想像されるほどオフィス需要は強くないといえる。

景気見通しの悪化に伴い、新規事業用のオフィス需要は弱含んでおり、Aクラスビルの需要は集約移転が中心になっている。集約移転を予定する企業では、急ぐ必要がないため、2018年以降の大量供給局面を見据えるケースも多い。限られた空室をテナントが競い合う状況になっておらず、2015年3Q以降、空室率の上昇に先んじてAクラスビル賃料が頭打ちとなっている。
図表-14 東京の貸室および賃貸オフィス面積の増減
 
2 三幸エステートが、大規模ビルの中で特に上位のビルとして、エリアや延床面積、基準階床面積、築年数、設備に関するガイドラインを満たすものを、個別ビル単位の立地・建物特性を重視して選出している。現時点で約140棟が対象。
(2) 賃貸マンション
賃貸マンション市場では、高水準の賃料推移が続いている。2014年以降、上昇ペースは減速しているものの、賃料下落の兆候は直近6月までみられていない(図表-15)。東京都区部の中古マンション賃料指数を用途別にみると、コンパクトタイプやファミリータイプの賃料上昇が減速しつつある一方、近年出遅れていたシングルタイプの賃料上昇が加速している。また、都心5区の賃貸マンション募集賃料を区別にみると、2012年以降の上昇幅が大きかった千代田区で調整しているものの、他の4区では堅調な推移が続いている(図表-16)。
図表-15 東京の中古マンション賃料指数 (タイプ別)/図表-16 東京の賃貸マンション募集賃料 (都心5区)
一方、高級賃貸マンション市場では、賃料が大きく変動すると共に、低下が続いてきた空室率が上昇し、サイクルのピーク感が漂っている(図表-17)。東京都の外国人人口は3年連続で増加しており、2016年に入っても、7月時点で46.8万人と、年初の44.9万人から引き続き増加している。ただし、高級賃貸マンションに入居する英米人の多い港区では、直近2016年7月の外国人人口が前年同月比+1.6%に過ぎず、東京都全体の+8.2%を大きく下回っている。
図表-17 東京の高級賃貸マンション市場
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増宮 守

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