2016年11月08日

オフィス賃料は反発も、インバウンド需要のピークアウトが商業施設、ホテルに影響~不動産クォータリー・レビュー2016年第3四半期~

  増宮 守

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1.経済動向と住宅市場

国内経済は緩やかな成長を続けており、2016年7-9月期の実質GDP成長率は、3四半期連続で前期比プラスを維持したとみられる。ただし、外需に依存した経済成長となっており、アジア向けのスマートフォン発売に伴うIC輸出の増加や、米国向けの底堅い自動車輸出などが寄与した。一方、国内では台風上陸などの天候不順の影響から個人消費が低迷し、業績見通しの悪化により企業の設備投資も弱含むなど、内需は総じて冴えなかった。

今後は世界経済の減速で外需に期待しづらくなるものの、雇用所得環境の改善を背景に(図表-1)、個人消費が底堅く推移し、プラスの経済成長が続くとみられている。日銀短観の大企業業況判断DIをみても、2016年第4四半期の見通しは、不動産業が29ポイント、非製造業が16ポイント、製造業も6ポイントとなり、3業種とも一定のプラス水準を維持している(図表-2)。

ニッセイ基礎研究所では、内閣府による2016年4-6月期の実質GDP成長率実績値の上方修正を受け、2016年度の実質GDP成長率予想を0.2%上方修正して+0.7%とし、2017年度の予想を+1.0%とした1。輸出、設備投資の低迷が続くことから、2016年度中は年率ゼロ%台の成長にとどまるものの、個人消費の増加などから景気の腰折れは回避され、円高の影響が一巡する2017年度は年率1%台の成長が続くと見込んでいる。
図表-1 完全失業率と有効求人倍率/図表-2 日銀短観の動向
住宅市場は概ね堅調で、9月の新設住宅着工は85,622戸と2013年の水準に迫り、前年同月比プラスが続いている(図表-3)。ただし、内訳をみると、強い伸びは貸家着工に限られている。分譲マンション着工は近年の平均以下の水準にあり、また、消費増税の延期による駆け込み需要の消失から、拡大傾向にあった持ち家着工も頭打ちしている(図表-4)。一方、根強い相続税の節税ニーズに加え、マイナス金利政策による金融機関の融資姿勢の積極化や建築コストの落ち着きも寄与し(図表-5)、高水準にある貸家着工がさらに加速している。
図表-3 新設住宅着工戸数/図表-4 新設住宅着工戸数(利用関係別)/図表-5 建築コスト動向(建築費指数)
9月の首都圏の新築分譲マンション販売戸数は3,424戸で10ヶ月ぶりに前年同月比プラスとなった(図表-6)。消費増税前の駆け込み需要を想定していた大規模駅近物件などが順調に販売された模様。ただし、東京都心の物件は少なく、神奈川県で前年同月比+50.9%となるなど、周辺部での販売が中心であった。

マンション価格の上昇傾向は続いており、東日本不動産流通機構(レインズ)による9月の首都圏中古マンション平均価格は、3,126万円(前年比+5.7%)となった。リピートセールス法による不動研住宅価格指数をみても、2012年末の底打ち以降、東京の中古マンション価格の力強い上昇が続いている(図表-7)。
図表-6 分譲マンション新規販売戸数(首都圏)/図表-7 中古マンション価格指数 (不動研住宅価格指数)
 
1 斎藤太郎「2016・2017年度経済見通し~16年4-6月期GDP2次速報後改定」ニッセイ基礎研究所、Weekly エコノミストレター、2016年9月8日
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増宮 守

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