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- 2015ベトナム生保市場動向-今後の「伸びしろ」が大きい生保市場
2016年09月23日
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3――生保収入保険料とマーケット・シェア
2014年から2015年のマーケット・シェア上位5社(新規収入保険料ベース)の動向を見ると、第3位までの順位は変わらないものの、第1位のプルデンシャル(1999年設立、32.9%⇒20.8%)、第2位のバオ・ベト生命(2004年設立、ベトナム政府が約7割の株を保有するバオ・ベト・ホールディングスの100%子会社、26.9%⇒19.6%)が大きくシェアを減らす一方、第3位マニュライフ(1999年設立、11.5%⇒13.4%)以下の会社がシェアを伸ばしている。
第4位の第一生命ベトナムはシェアを伸ばしたものの(2007年設立、9.5%⇒10.0%)、第5位のAIA(2000年設立、8.5%⇒11.5%)に競り負けた。
2015年第6位はPVIサンライフ[2013年設立、損保マーケット・シェア1位(20.8%)のペトロベトナム保険(PVI)とサンライフとの合弁会社、5.8%]であり、前述のBIDVメットライフは創業後間もないにもかかわらず、1.4%のシェアを確保している。
第4位の第一生命ベトナムはシェアを伸ばしたものの(2007年設立、9.5%⇒10.0%)、第5位のAIA(2000年設立、8.5%⇒11.5%)に競り負けた。
2015年第6位はPVIサンライフ[2013年設立、損保マーケット・シェア1位(20.8%)のペトロベトナム保険(PVI)とサンライフとの合弁会社、5.8%]であり、前述のBIDVメットライフは創業後間もないにもかかわらず、1.4%のシェアを確保している。
4 「2015年ベトナム保険市場の概要」(Tổng quan thị trường bảo hiểm năm 2015)、ベトナム保険監督庁ホームページ。
4――販売動向
2015年の新契約件数は約130万件で、前年と比べ24.2%増加している。
うち、保障と貯蓄を兼ね備えた養老保険(bảo hiểm hỗn hợp)が41.8%(前年は40.9%)、ユニット・リンク保険やユニバーサル保険など投資リンク性商品(bảo hiểm liên kết đầu tư)が34.4%(前年は32.7%)と、貯蓄・投資性商品の販売が大半を占める。
現在、17生保会社のうち15社がユニバーサル生命保険を販売している。
これに対し、定期保険(bảo hiểm tử kỳ)は22.6%(前年は24.9%)、終身保険(bảo hiểm trọn đời)は0.2%に過ぎない5。
また、2013年から個人年金保険の販売も開始されているが、販売実績は僅少である。
保有契約も約573万件に達し、前年と比べ16.1%増加している。
うち、養老保険が62.8%、投資リンク性商品が26.6%と、新契約と同様、貯蓄・投資性商品の販売が大半を占める。
販売チャネルとしては、営業職員や代理店のほか、銀行窓販や郵便局での保険販売なども行われている6。
5 「2015年ベトナム保険市場の概要」前掲。
6 「2015年ベトナム保険市場の概要」前掲、グイェン・ヴァン・タイン「ベトナムの生保市場への外資系生保の進出に関する考察」『生命保険論集』第161号、2007年12月、坂本栄治「ベトナムの生命保険市場について」『生命保険経営』第81巻第5号、2013年9月。
うち、保障と貯蓄を兼ね備えた養老保険(bảo hiểm hỗn hợp)が41.8%(前年は40.9%)、ユニット・リンク保険やユニバーサル保険など投資リンク性商品(bảo hiểm liên kết đầu tư)が34.4%(前年は32.7%)と、貯蓄・投資性商品の販売が大半を占める。
現在、17生保会社のうち15社がユニバーサル生命保険を販売している。
これに対し、定期保険(bảo hiểm tử kỳ)は22.6%(前年は24.9%)、終身保険(bảo hiểm trọn đời)は0.2%に過ぎない5。
また、2013年から個人年金保険の販売も開始されているが、販売実績は僅少である。
保有契約も約573万件に達し、前年と比べ16.1%増加している。
うち、養老保険が62.8%、投資リンク性商品が26.6%と、新契約と同様、貯蓄・投資性商品の販売が大半を占める。
販売チャネルとしては、営業職員や代理店のほか、銀行窓販や郵便局での保険販売なども行われている6。
5 「2015年ベトナム保険市場の概要」前掲。
6 「2015年ベトナム保険市場の概要」前掲、グイェン・ヴァン・タイン「ベトナムの生保市場への外資系生保の進出に関する考察」『生命保険論集』第161号、2007年12月、坂本栄治「ベトナムの生命保険市場について」『生命保険経営』第81巻第5号、2013年9月。
5――おわりに
ベトナムには日本の生保会社も多く進出している。
2007年1月には第一生命がベトナムの生保会社バオミンCMG社を買収し、買収後第一生命ベトナムと社名変更、現在では前述のとおりマーケット・シェアの約1割を占めている。
さらに2016年1月、第一生命ベトナムはベトナム郵便会社と生保商品に関する15年間の独占販売契約を締結した7。
また、2012年12月には、住友生命がバオ・ベト生命やバオ・ベト保険[ベトナムの損保マーケット・シェア2位(18.5%)]などの親会社であるバオ・ベト・ホールディングスと業務提携し、同社の発行済株式の18%を約 7.1 兆ベトナムドン(当時約 280 億円)で取得した8。
2016年4月には、かんぽ生命、第一生命とベトナム郵便会社が3社の生命保険サービスに関する協力関係に関する覚書を締結した9。
なお、損保会社についても、東京海上グループが1996年8月、バオ・ベト・ホールディングスとの合弁会社としてベトナム・インターナショナル・アシュアランス社(2010年9月にバオベト・トキオ・マリン社に社名変更)を設立し、2016年5月には出資比率を49%から51%に引き上げた10。
こうした日本や諸外国からの進出動向も含め、伸び行くベトナムの生保事情について、引き続き注視していきたい。
7 「ベトナム社会主義共和国における生命保険会社買収について」(2007年1月15日)、「ベトナム郵便会社と第一生命ベトナムとの業務提携について」(2016年1月18日)、第一生命ホームページ。
8 「バオベト ホールディングスとの戦略的業務提携について」(2012年12月20日)、住友生命ホームページ。
9 「かんぽ生命、第一生命及びベトナム郵便会社の三社の協力関係に関する覚書の締結」(2016年4月19日)、かんぽ生命・第一生命ホームページ。
10 「ベトナム現地法人の出資比率引上げについて」(2016年5月11日)、東京海上ホールディングスホームページ。
2007年1月には第一生命がベトナムの生保会社バオミンCMG社を買収し、買収後第一生命ベトナムと社名変更、現在では前述のとおりマーケット・シェアの約1割を占めている。
さらに2016年1月、第一生命ベトナムはベトナム郵便会社と生保商品に関する15年間の独占販売契約を締結した7。
また、2012年12月には、住友生命がバオ・ベト生命やバオ・ベト保険[ベトナムの損保マーケット・シェア2位(18.5%)]などの親会社であるバオ・ベト・ホールディングスと業務提携し、同社の発行済株式の18%を約 7.1 兆ベトナムドン(当時約 280 億円)で取得した8。
2016年4月には、かんぽ生命、第一生命とベトナム郵便会社が3社の生命保険サービスに関する協力関係に関する覚書を締結した9。
なお、損保会社についても、東京海上グループが1996年8月、バオ・ベト・ホールディングスとの合弁会社としてベトナム・インターナショナル・アシュアランス社(2010年9月にバオベト・トキオ・マリン社に社名変更)を設立し、2016年5月には出資比率を49%から51%に引き上げた10。
こうした日本や諸外国からの進出動向も含め、伸び行くベトナムの生保事情について、引き続き注視していきたい。
7 「ベトナム社会主義共和国における生命保険会社買収について」(2007年1月15日)、「ベトナム郵便会社と第一生命ベトナムとの業務提携について」(2016年1月18日)、第一生命ホームページ。
8 「バオベト ホールディングスとの戦略的業務提携について」(2012年12月20日)、住友生命ホームページ。
9 「かんぽ生命、第一生命及びベトナム郵便会社の三社の協力関係に関する覚書の締結」(2016年4月19日)、かんぽ生命・第一生命ホームページ。
10 「ベトナム現地法人の出資比率引上げについて」(2016年5月11日)、東京海上ホールディングスホームページ。
(2016年09月23日「保険・年金フォーカス」)
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