2016年08月23日

少額短期保険について-制度創設から10年間の成長

小林 雅史

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■要旨

従来、保険業法の規制対象とされていなかった無認可共済について、その規模や形態が多様化する状況の中、保険契約者の保護の観点から、保険業法の対象として規制・監督すべきとの声が高まった。

こうした声に応えた改正保険業法は、2005年4月22日に成立、2006年4月1日に施行された。
本年は、少額短期保険業の誕生から10年となる。

制度創設から8年を経過した時点の少額短期保険の現状については、過去に紹介したが、本レポートでは、その後の変化を中心に、誕生から10年を経過した少額 短期保険の現状について紹介することとしたい。

■目次

1――はじめに
2――少額短期保険の現状
  1|少額短期保険業者、募集人
  2|少額短期保険の商品
  3|少額短期保険の保有契約の動向
  4|情報開示
3――おわりに

1――はじめに

1――はじめに

従来、保険業法において、「保険業」の定義は、「不特定の者」を保障するものとされ、組合員など「特定の者」を保障する「共済」は、「根拠法のある共済」(認可共済とも称される。農業協同組合法を根拠法とするJA共済、消費生活協同組合法を根拠法とする全労災など)を除き、「根拠法のない共済」(無認可共済)として、保険業法の規制対象とされていなかった。

しかしながら、無認可共済の規模や形態が多様化する状況の中、保険契約者の保護の観点から、無認可共済に対しても保険業法の対象として規制・監督すべきとの声が高まった。

そして、改正保険業法が、2005年3月11日、第162回国会に提出され、2005年4月22日に成立、2006年4月1日に施行された。

この改正保険業法では、保険業の定義を変更した上で、「少額短期保険業」を「保険業のうち、保険期間が2年以内の政令で定める期間以内であって、保険金額が千万円以下の政令で定める金額以下の保険のみの引受けを行う事業」として新たに定め、財務省の地方支局である財務局への登録制の導入・商品審査・責任準備金の積立などを規定した。

本年は、少額短期保険業の誕生から10年となる。制度創設から8年を経過した時点の少額短期保険の現状については、過去に紹介した1が、本レポートでは、その後の変化を中心に、誕生から10年を経過した少額短期保険の現状について紹介することとしたい。
 
1  小林雅史「少額短期保険の現状」、『保険・年金フォーカス』、ニッセイ基礎研究所、2014年8月26日。http://www.nli-research.co.jp/files/topics/41829_ext_18_0.pdf?site=nli
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