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- カバードコール戦略の可能性
と理解されるが、別の解釈として、
という組み合わせでも実現できる。
図表4は、カバードコール(黄色)のペイオフを表している。株式のロング(オレンジ色)により、株価の値上がり・値下がりがペイオフに影響する。次に、ストラドルのショート(= コールのショート + プットのショート、灰色)含まれるため、株価が現状付近で動かない場合の利益が大きい。大きく値下がり・値上がりした場合には、損失が拡大する。
さらに、オプションのショートはボラティリティーの低下に賭ける戦略である。ボラティリティーが高い時にポジションを組むことができれば、高いオプション・プレミアムを得ることができる。逆にボラティリティーが低い状況から、高い状況に移るような環境では、プレミアムが低いだけでなく、株価の値上がり・値下がりによっても損失する。カバードコールは、株価の方向性だけでなく、ボラティリティーの変化にもリスクをとった運用手法と言える。
図表5はカバードコール戦略(CC戦略)のシミュレーション結果である。全期間を見ると、CC戦略の日次平均リターンは0.031%で、日経平均株価を上回っている。日次の標準偏差1.468%を年率換算すると約23%であり、日経平均株価のリスク(約26%)よりも若干低い。βは0.86であり、日経平均株価との連動性はある程度高い。αは0.02%で有意であった。
各年の結果を見ると、2012年と2013年を除き、CC戦略の平均リターンは日経平均株価を上回っている。一方、βは0.70~0.95の範囲で安定している。2008年の金融危機時では、日経平均株価と同様に値下がりしており、15%TV戦略と比較して、下方リスクの抑制効果は低いものだった(巻末図表9も参照)。一方、2014年・2015年では、平均リターンは日経平均株価より高く、株価の値上がり時に強い傾向がある。2015年ではαも正で有意であった。
投資家の下方リスク抑制ニーズの強さから、コールオプションよりも、プットオプションの方が割高になっているという研究結果がある。そのため、カバードコールと同じペイオフを達成するプットのショートを利用する方法が最近では検討されている。
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北村 智紀
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(2016年07月05日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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