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海外資金による国内不動産取得動向(2015年)~リスク回避の動きが不動産取引にも影響~

増宮 守
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海外投資家が日本をみる場合、全国的には長期的な人口減少と経済停滞への懸念が根強い。一方、東京については、オリンピックの開催も控え、インフラ改善による国際競争力の向上が見込める。ただし、東京についても、オリンピック開催を目途とした短い投資期間で検討している投資家は少なくない。そのため、東京のアジアの主要都市としての地位を長期的に維持、強化していくことが重要である。
5.米国およびアジア資金による取得
リーマンショック時には、ほとんど動きが止まった米国資金に対し、アジア資金の動きは継続していたことから、両者の違いが明確となっていた。しかし、2015年は、リーマンショック時のように極端な米国資金によるリスク回避はみられず、また、中国経済の失速懸念を受けて、成長著しいアジア資金の動きも鈍化したことから、双方が同様に縮小する形となった。
6.おわりに
しかし、取引所で日々値付けされる株式とは異なり、不動産の取引データは十分ではないため、不動産価格動向の把握は難しい5。そのため、不動産投資市場の把握においては、取引額の推移から市場の活性を確認することが重要であるが、上記のように、取引額は2015年に縮小に転じ、なかでも、海外資金による取得額の縮小が顕著であった。
ただし、アジア資金が牽引してきた海外資金による日本国内での不動産取得の拡大は一旦途絶えたものの、インバウンド需要が拡大するホテルのように、アジア資金による取得拡大が続いた分野もある。今後も、構造的な成長や東京の国際競争力向上の恩恵が見込める投資対象などについては、海外資金による取得拡大が続くものと見込まれる。
4 増宮守「景況見通しが一変、悲観が楽観を上回る~不動産価格のピークは15~18年と見方分かれる~第12回不動産市況アンケート結果」ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート、2016年1月25日
5 増宮守「不動産価格サイクルの先行的指標~ピーク感が強まる中、各指標の現状を確認~」ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート、2015年8月28日
(2016年04月12日「不動産投資レポート」)
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