2015年10月30日

消費者物価(全国15年9月)~コアCPI上昇率は2ヵ月連続マイナスも、年末にはプラス転化の公算

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■見出し

・コアCPI上昇率は2ヵ月連続のマイナス
・物価上昇品目数の割合がさらに上昇
・全国のコアCPIは15年末には再びプラスへ

■要旨

総務省が10月30日に公表した消費者物価指数によると、15年9月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.1%(8月:同▲0.1%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.18%(8月:▲1.04%)、食料(生鮮食品を除く)が0.41%(8月:0.39%)、その他が0.68%(8月:0.56%)であった。

消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、9月の上昇品目数は351品目(8月は339品目)、下落品目数は124品目(8月は131品目)となり、上昇品目数が前月から増加した。上昇品目数の割合は67.0%(8月は64.7%)、下落品目数の割合は23.7%(8月は25.0%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は43.3%(8月は39.7%)であった。
食料(生鮮食品を除く)は7割以上の品目が上昇し、特に値上がりが目立っているが、トイレットペーパー、ポリ袋などの日用品、宿泊料、テーマパーク入場料、月謝類などのサービスでも幅広い品目で値上げが行われている。コアCPI上昇率は前年比でマイナスとなっているが、品目数でみれば上昇品目数が下落品目数を大きく上回っており、物価上昇の裾野は広がっている。

原油価格(ドバイ)は1バレル=40ドル台で横ばい圏の推移が続いているが、エネルギー価格の前年比下落率は年末にかけて縮小に向かうことが見込まれる。
また、かつてに比べて企業の値上げに対する抵抗感は小さくなっており、円安に伴う原材料価格の上昇に対応した価格転嫁の動きは加速している。コアCPI上昇率がマイナスに転じる中で、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆるコアコアCPI)が2月の前年比0.3%(消費税の影響を除く)から9月に同0.9%まで上昇幅が拡大していることは、エネルギー以外の物価上昇圧力の強さを示したものと言える。
現時点では、原油価格(ドバイ)が1バレル=50ドル弱まで戻ることを前提として、コアCPI上昇率は15年末には再びプラスに転じると予想している。

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2015年10月30日「経済・金融フラッシュ」)

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