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- 伊豆大島、広島市、鬼怒川-毎年くる“未曾有の豪雨”?
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2013年10月:伊豆大島の大規模土石流
2013年10月16日、台風26号による豪雨で伊豆大島(東京都大島町)の三原山が幅約950mにわたって崩落し、大規模な土石流が発生した。24時間雨量は800mmを超えた。これは同町の観測記録を更新し、月平均雨量に相当する雨が一晩で降ったことになる。家屋の全半壊76棟、死亡・行方不明39人。気象庁は関東に接近・上陸する台風としては10年に一度の強い勢力として警戒を呼びかけていたが、「土石流はノーマーク」という地元の声もあるように、まさに想定外の豪雨と土石流であった。
2014年8月:広島市の土砂災害
2014年7月30日から8月26日にかけて、台風12号、11号および停滞した前線と暖湿流により西日本に降った大雨は、「平成26年8月豪雨」と呼ばれる。特に台風通過後の豪雨は、京都府福知山市に大規模な洪水被害(浸水約2,500世帯)をもたらした。さらに8月20日未明、局地的な短時間豪雨によって広島市北部の住宅地背後の山が大きく崩れ、約50か所で同時多発的に土石流が発生した。全壊家屋254棟、死者は74人にのぼり、日本の土砂災害による人的被害としては過去30年間で最多となった。
2015年9月:鬼怒川の堤防決壊
今年9月9日から11日にかけて東日本に降った大雨は、「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名された。台風18号から変わった温帯低気圧に向けて湿った空気が大量に流れ込んだため、この間の総降水量は栃木県日光市で600mmを超すなど、近隣各地でも観測史上最多の雨量を記録した。この豪雨により茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊し、広域で河川氾濫や土砂崩れが発生した。堤防決壊の爪痕は凄まじい。8人が死亡し、多数の家屋が濁流にのまれ、収穫前の農作物も大きな被害を受けた。
“国富損失”の原因と対策
このところ、毎年“未曾有の豪雨”が日本を襲う。気象庁が命名した気象現象の一覧をみると、2000年以降はほぼ毎年「○○○豪雨」が載っている。来年もまた、どこかで被害が発生するのではないか。物的損害はもとより人的被害や機会損失は、もはや“国富喪失”と言ってもおかしくない。
それゆえ、人間活動が主たる原因と考えられる気候変動を、将来世代への「負の遺産」としてはならない。気候変動問題の核心は、その進展を食い止めることであり、そのためには温室効果ガスの排出抑制(緩和策)と同時に、拡大する被害や影響への対応(適応策)が必須である。
(2015年09月25日「研究員の眼」)
川村 雅彦
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