- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 円高進行、ユーロ急騰、揺らぐ市場の行方~マーケット・カルテ9月号
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
ドル円相場は先週末以降急落し、足元では121円付近まで円高ドル安が進んでいる。中国経済への不安とそれに伴う資源安などが世界的株安を引き起こし、リスク回避の円買いが誘発されたためだ。また、新興・資源国からの資金流出もリスク回避に拍車をかけている。
しばらくは神経質な展開が避けられないが、円安シナリオは不変だと見ている。中国経済などは確かに懸念材料であり、下振れリスクもあるが、どんどん深刻化して世界的な危機に発展する可能性は低い。米国の年内利上げ方針を撤回させるほどのインパクトもないはずだ。従って、市場の過度の不安が後退し、リスク回避度合いが薄れるにつれ、円買い圧力は弱まり、日米金融政策の違いをテーマとした円安ドル高基調へと回帰していくと見ている。ただし、米利上げによる資源安や新興・資源国からの資金流出といった副作用への警戒は今後も高まりやすいだけに、リスク回避的な円高局面はこれからも発生する可能性が高いだろう。
ユーロ円相場は、再び138円台後半までユーロ高が進行。ユーロキャリー取引等で形成されたユーロ売りポジションが、リスク回避によって円以上に買い戻されているためだ。ただし、ユーロ圏も大規模な量的緩和を実施しており、本来、積極的にユーロを買い進める理由はない。いずれリスク回避地合いが収まるにつれて、ユーロ売りが再開し、3ヵ月後のユーロ円は現状比でやや下落していると予想している。
長期金利は株安に伴う安全資産選好によって、足元では0.3%台半ばまで低下している。ただし、今後3ヵ月では、リスク回避の後退、米利上げ観測に伴う米金利上昇が上昇圧力となることで、0.5%を超える水準に向かうと見ている。
(執筆時点:2015/8/24)
(2015年08月24日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/22 | 高市新政権が発足、円相場の行方を考える~マーケット・カルテ11月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
| 2025/10/14 | 貸出・マネタリー統計(25年9月)~銀行貸出の伸びが4年半ぶりの4%台に、定期預金等はバブル期以来の高い伸びを記録 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/06 | 円安が続く背景を改めて点検する~円相場の行方は? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
| 2025/10/01 | 日銀短観(9月調査)~トランプ関税の影響は依然限定的、利上げ路線をサポートするも、決め手にはならず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【円高進行、ユーロ急騰、揺らぐ市場の行方~マーケット・カルテ9月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
円高進行、ユーロ急騰、揺らぐ市場の行方~マーケット・カルテ9月号のレポート Topへ











