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- 【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(14)「年金積立金」より注目が集まる、「赤字補填金」
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■要旨
中国の年金に関する基金の運用は、本筋である年金保険料を積み立てた「基本年金基金」よりも、将来の赤字補填を目的にした「全国社会保障基金」に注目が集まりがちだ。
「基本年金基金」は保険給付を目的としており、保険料のうち、年金の給付などに充てられなかったものを積み立てたもので、日本の「年金積立金」に相当する。
「全国社会保障基金」は、少子高齢化等によって基本年金基金の収支が赤字になった場合の補填を目的に、国が創設した基金である。財源は主に国庫、国有企業の株式売却益、宝くじの収益金で、ここに年金の保険料は含まれていない。
全国社会保障基金の理事会が5月末に発表したところによると、2014年末の総資産額は1兆5356億元、およそ31兆円にのぼる。資産運用による収益額は前年の2倍となる1425億元(約3兆円)、収益率は11.69%と2010年以降5年ぶりの高い水準となった。2014年は、国内の株式相場の指数がおよそ5割上昇するなど好調で、公正価値評価(時価)の変動損益が大幅にプラスになったことが収益の伸びに大きく貢献した。
全国社会保障基金は、基本年金基金の運用のサポートもあるが、それ以外に最近では、逼迫する地方財政への間接的な支援への期待も寄せられている。国務院は、4月、地方政府による自主起債に加えて、債務乗り換え目的の債券発行を許可している。ほぼ同じタイミングで、全国社会保障基金の地方債への投資を解禁したことは、全国社会保障基金を地方債の有力な買い手として期待する、国務院の強力な政治的メッセージが垣間見られる。
(2015年06月16日「基礎研レター」)
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- 【職歴】
2005年 ニッセイ基礎研究所(2022年7月より現職)
(2023年 東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了) 【社外委員等】
・日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
(2019~2020年度・2023年度~)
・生命保険経営学会 編集委員・海外ニュース委員
・千葉大学客員教授(2024年度~)
・千葉大学客員准教授(2023年度) 【加入団体等】
日本保険学会、社会政策学会、他
博士(学術)
片山 ゆきのレポート
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