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中国経済見通し~15年は7.0%、16年は6.8%、“3つの景気下押し要因”には注意!

三尾 幸吉郎
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- 中国の15年1-3月期の国内総生産(GDP)は実質で前年同期比7.0%増となり、14年通期の前年比7.4%増より0.4ポイント低下した。第2次産業が前年同期比6.4%増、第3次産業が同7.9%増と、鈍化の主因は第2次産業の不振だった。ここ数年、第3次産業の成長率が第2次産業より高い“3高2低”となっており、第3次産業が成長率を下支えしている(下左図)。
- 需要面を見ると、輸出は欧米経済の復調を受けて回復に向かうとの見方を維持、消費は堅調な個人所得と住宅販売の底打ちに支えられて底堅いと思われる。投資については、製造業と不動産業では昨年より大幅に減速しそうだが、消費サービス関連は高い伸びを維持し、新型都市化を背景に景気対策も兼ねてインフラ関連の投資が加速すると思われる。従って、投資全体としては、15年に減速した後、16年にはやや回復すると予想している。
- 物価面と資産価格面を見ると、インフレ率は低位で推移しており、消費者物価は15年1-4月期に前年同期比1.3%上昇、工業生産者価格は下落基調で同4.6%下落となった。また、住宅価格はようやく下げ止まった模様である一方、中国株は勢いよく上昇してきた。
- 現在の中国経済は、積み上がった製品在庫、住宅市場の低迷、財源問題を抱える地方財政という“3つの景気下押し要因”を抱えている。前回見通し時点(2月)に比べると、不安はやや薄れたものの、自動車製造業などでは製品在庫水準が依然高く、住宅市場にも再び下落するリスクが残っており、財源不足の地方財政を官民連携(PPP)で補えるかは依然不透明である。
- 今後の経済成長率は2015年が前年比7.0%増、2016年が同6.8%増と予想している。需要項目別に見ると、最終消費は3ポイント台後半のプラス寄与で底堅く推移、総資本形成は製造業・不動産業では低い伸びが続くもののインフラ関連や消費サービス関連は高い伸びを維持して3ポイント程度で推移、純輸出はゼロ近辺での推移が続くと見ている(下右図)。なお、下方リスクとしては前述の“3つの景気下押し要因”があり、今後も注意深く見ていく必要がある。
(2015年05月29日「Weekly エコノミスト・レター」)
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