- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- バーチャルとリアルにフラット化する商業店舗-日本発のグローバルブランド創造への期待
バーチャルとリアルにフラット化する商業店舗-日本発のグローバルブランド創造への期待
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
2006年に日本語版が出版された『フラット化する世界1』は、インターネットと通信の普及によって、遠く離れた海外の都市同士でビジネスが進行していく様を世界の仕組みが変わったとして描写したものだった。商業小売の分野でも、eコマースの普及によって生じた構造変化については周知のとおりである。ただ、商業小売に関してはeコマースによる場所や時間の制約のないフラット化とは別のフラット化が進行していると思われる。それは出店を拡大するグローバルブランドのリアル店舗へ足を運ぶことが各国各地域で可能となる商業店舗のフラット化だ。
グローバルブランドは、いわゆる高級ブランドがイメージされるが最近ではファストファッションなどの存在感も増している。その他にもアウトドア用品や生活用品に至るまでグローバルに店舗展開を図るブランドがあり、これらの店舗は主要都市に路面店を構えたり、百貨店やショッピングモールなどのテナントにもなったりしている。世界の主要都市でこうしたグローバルブランドの店舗が見られる。
店舗数の拡大を支えている要因の一つのが、ショッピングモール等の商業施設開発だ。モール型の商業施設は米国やオーストラリアで発展したもので、これらの国では上場リートの大型銘柄によるモールの開発・運営も多い。最近では他のアジアの都市でも都心部と郊外の双方でショッピングモールの開業・開発が進んでいる。モール型施設の開発が遅れていた欧州でも中欧も含め開発が進んでいる。こうした施設にはローカルなテナントに加えてグローバルブランドが入居しているのが常であり、施設の開発・開業にともなって商業店舗のフラット化は世界で進行している。
国内に焦点を当ててみると、首都圏で購買層の支持を得たブランドや業態は、地方圏に向けて店舗を拡大しており、首都圏から地方圏へとフラット化は進行している。国内では90年代後半頃からモール型施設の開発が始まった。店舗開発やテナント誘致を手がけたのは、大手小売業に加え、不動産会社、商社などであった。現在モール型施設には、百貨店、日用品を扱うスーパーマーケット、家電量販店、専門店を網羅した大型モールやスーパーマーケットと専門店のみ組み合わせたモール、アウトレットモールなど、複数の形態が浸透してきている。また都心オフィスビルの低層階や主要駅ビルで商業区画に店舗誘致を行う手法も定着した。こうした手法を首都圏で確立した各社が、収益機会の拡大を目指して地方圏での施設開業にも注力しており、地方でも東京と同じ店舗テナントにアクセスできる機会が格段に増えてきている。ファストファッションを含むグローバルブランドが路面店舗を開業するにあたっては、不動産会社や不動産運用会社が店舗を開発しテナントとして迎える例も少なくない。
各地域で拡大している商業施設の開業は、地域の雇用を生み、消費生活の充実が住民の満足度を高め地域を活性化させるなどの効果があり、おおむね歓迎されていることが多いようだ。首都圏あるいは海外のトレンドを移動距離なく体験できる身近な施設が当たり前のインフラになりつつある。
ローカルな特性が減じられ画一的になるといった懸念もあるものの、商業店舗のフラット化は今後さらに進行すると思われる。そのような時流の中では、現在ではまだ少ない日本発のグローバルブランドが新たに生まれ成長することに加え、商業拠点を創造する側としての国内勢の内外での活躍にも期待したい。
(2015年01月28日「研究員の眼」)
このレポートの関連カテゴリ
加藤 えり子
加藤 えり子のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2017/06/19 | 「国際金融都市・東京」構想と不動産市場~日本版金融ビッグバンから東京版金融ビッグバンへ~ | 加藤 えり子 | 研究員の眼 |
| 2017/06/07 | オフィス・ホテル・物流市場では供給消化が好調維持の鍵ー不動産クォータリー・レビュー2017年第1四半期 | 加藤 えり子 | 基礎研マンスリー |
| 2017/05/08 | オフィス・ホテル・物流市場では供給消化が好調維持の鍵-不動産クォータリー・レビュー2017年第1四半期 | 加藤 えり子 | 不動産投資レポート |
| 2017/03/06 | 地方都市でオフィス需給逼迫、東京は大量供給?に見えるもの | 加藤 えり子 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2026年01月23日
2026年の消費~緩やかな改善傾向のもとで進む「使い方」と「選び方」の変化 -
2026年01月23日
米個人所得・消費支出(25年10、11月)-10月以降も堅調な個人消費を確認 -
2026年01月23日
消費者物価(全国25年12月)-コアCPI上昇率は26年2月に2%割れの公算 -
2026年01月22日
省庁再編から25年など節目の年に考える社会保障改革論議-スピーディーな意思決定や縦割り打破に成果、政策形成に歪みも -
2026年01月22日
米国における日系企業の団体医療保険活用状況調査結果
お知らせ
-
2025年12月16日
News Release
令和7年度 住宅ストック維持・向上促進事業「良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業」に関するシンポジウムの開催
-
2025年12月01日
News Release
-
2025年12月01日
News Release
【バーチャルとリアルにフラット化する商業店舗-日本発のグローバルブランド創造への期待】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
バーチャルとリアルにフラット化する商業店舗-日本発のグローバルブランド創造への期待のレポート Topへ









